2007年02月03日

北尾吉孝(総監修)(2006.6)『2006年度版 図解 自分に最適な資産運用が一目でわかる本』高橋書店

 乙が読んだ本です。
 各種の資産運用について書かれた本です。
 第1章「株式投資」、第2章「投資信託」、第3章「外貨投資」、第4章「不動産投資」あたりまでは、やさしい入門書といったところでしょう。乙は、ほぼすべてを知っていましたので、特に新しい情報はないような感じがしました。
 第5章「年金」、第6章「住宅ローン」、第7章「その他金融商品」あたりになると、乙はあまり知識がなかったので、おもしろく読みました。
 第1章から第4章までの記述では、資産運用をこれから学ぼうという初心者対象の本であるように思えます。しかし、第7章では、「債券」(これは含めるのが常識でしょう)や「商品先物取引」、「金」(ゴールドのことです)、「ファンド」(投信以外のもの)、「美術品」まで各2ページで説明してあります。これらは、初心者には手を出しにくいし、いざ購入を考えるなら、こんな2ページの知識ではまったく不足です。とすると、本書が全体としてどんな人を読者対象に想定しているのか、だんだんわからなくなってきました。
 また、本書全体として、各種金融商品をおすすめするようなスタンスで書かれており(SBIグループの各社から執筆担当者が出て書いているのですから当然ですが)、批判的な書き方は一切ありません。外貨預金も、個人年金保険も、ワンルームマンションも、何でもそのメリットを示しています。リスクやデメリットも一応書いてあるので、まあいいと思うのですが、総合的に判断して、おトクなのかどうなのかは示していません。いろいろ個別の商品について説明して「あとは読者におまかせ」という書き方です。
 読む側としては、本書を読んで、概説的な知識を持ち、あとは関連する本を読んで自分なりに補うしかないように思います。
 全体として、タイトルにある「図解」という言葉が示すように、図が多用されています。スペースからいうと、全体の 3/4 が図で、本文は 1/4 に過ぎません。しかし、その方針は成功したとは思いません。表も多いですし(表も図なのでしょうか)、文字の入ったいくつかの箱を矢印で結んだようなものもたくさんあります。こういうのは、文章できちんと書いたほうがずっとわかりやすいのではないかと思いました。
 個別の記述で、特に問題になるところは少ないと思いました。全体に(入門書としては)よく書けていると思います。
 pp.20-23 では、年代や未婚/既婚による資産運用の具体例を8例ほど示しています。全体として、理解できなくはないのですが、ちょっと疑問があります。国内債券をある程度の割合で組み入れていることです。今は、低金利時代ですから、債券の金利も低いものになっています。それを何割も組み入れていいのでしょうか。もう少し待って、債券の金利が上がり始めてから投資してもよさそうに思います。金利は、株などと違って、短期間に大幅な上下があることはほとんど考えられないですから、金利が上がってから債券投資をしてもいいのではないでしょうか。資産運用の入門書としては、金利がどうであっても通用するような原則を書いておいたほうがいいという判断でしょうか。あるいは、長期運用を前提にして、債券投資のリスクとリターンを計算し、他の資産のリスクとリターンと総合的に比較して最適な割合を求めたということでしょうか。
 p.47 株式投資編のところですが、新聞で情報収集をしていると、「毎日見ているうちに株式欄を開くのが楽しみになってくるに違いありません。」とあります。初心者では、こういう人はいないでしょう。新聞の株式欄なんて、単なる数字の羅列ですから、これがおもしろいというのは、相当なマニアではないでしょうか。少なくとも、乙は、こういう株価欄を見るよりは、ネットで株価情報を見る方が楽でいいと思います。
 p.72 投資信託編ですが、ここでも、投信の価格チェックを新聞で行うという話が出てきます。あたかも毎日チェックしなさいと言っているようです。しかし、投信は「運用はプロにおまかせ」という発想なのですから、毎日チェックする必要はなく、一度購入したら、じっと保有したままにしておくのが正しい態度のはずです。ここの記述にはかなり違和感を持ちました。
 この本を読むべき人がどんな人なのか、どうにもわからないという意味で、本書はあまりおすすめではありません。


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posted by 乙 at 04:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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