この本は、インデックス・ファンドへの投資を語る本です。
現代のファイナンス理論に基づき、株への投資を説いています。
乙は、今まで投資関連の本をいろいろ読んできたので、残念ながら、この本にあまり新鮮味を感じませんでした。特に、橘玲氏の『臆病者のための株入門』
http://otsu.seesaa.net/article/19337369.html
と似ているようです。しかし、投資関連本として、最初に読むと、インパクトがあると思います。
この本では、最後のほうにおもしろいことがたくさん書いてあります。
pp.177-178 インデックス・ファンドがいいなら、なぜインデックス・ファンドばかりにならないかという問題に対して、人間はオーバーコンフィデンス・バイアスがあるからだと説きます。人間は自分に自信があるからという説明です。投資の場合も同じで、自分は他人よりもうまくやっていけるという自信を持っている人がいるからアクティブ・ファンドの人気があるというわけです。この説明は納得できます。人間は自分を冷静には見つめられないものなんですね。
pp.180-181 TOPIX 組入銘柄をねらって儲けようという話がうまく行かなくなってしまった経緯を書いています。
乙も、このことは気になっており、ブログに書いたこともあります。
http://otsu.seesaa.net/article/22402936.html
しかし、気にするほどのことはないということです。
p.184 インデックス・ファンドを優位にする莫大なコストは、すべてアクティブ・ファンドの投資家が支払っているという指摘です。非常に興味深いです。考えてみれば、そうなりますね。
p.190 投資するよりも働くことが一番だという話です。日常的にお金が生まれるという意味では、一面の真理です。
p.194 「貯金が数千万円以上あるひとは、嫌でも投資というものに向き合っていかなければいけません。」まさに乙の気持ちが書いてありました。好きで投資しているわけではないのです。「しなければいけない」のです。
p.202 アセットアロケーションの考え方を具体的に書いています。個人ごとに違わざるを得ないので、あくまで参考にするだけですが、具体的な数値が書いてあるだけに興味深かったです。そして、p.205 では、藤沢氏が自分のアロケーションに関して、外国株、日本株、外国国債、日本国債を85対15対50対0にしていると記しています。日本国債をゼロにしているのは乙と同じです。けっこう外国株と外国国債が多いように見えます。合わせれば135ですから、全資産の9割は外国に投資していることになります。
ちなみに、著者のブログがあります。
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/
アクセスしてみると、ブログに書かれていることは本の内容とダブっているんですね。(本にもその旨が書いてありましたけれど。)
もしかして、本を買わなくとも、こちらのブログを通読すればよかったのかもしれません。
【関連する記事】
- 香川健介(2017.3)『10万円からできる! お金の守り方教えます』二見書房
- 大江英樹、井戸美枝(2017.2)『定年男子 定年女子』日経BP社
- 天達泰章(2013.6)『日本財政が破綻するとき』日本経済新聞出版社
- 安間伸(2015.11)『ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金編 ..
- 橘玲(2014.9)『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 2015』幻冬舎
- 橘玲(2014.5)『臆病者のための億万長者入門』(文春新書)文藝春秋
- ピーター・D・シフ、アンドリュー・J・シフ(2011.6)『なぜ政府は信頼できな..
- 小幡績(2013.5)『ハイブリッド・バブル』ダイヤモンド社
- 吉本佳生(2013.4)『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)講談社
- 川島博之(2012.11)『データで読み解く中国経済』東洋経済新報社
- 吉本佳生(2011.10)『日本経済の奇妙な常識』(講談社現代新書)講談社
- 野口悠紀雄(2013.1)『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社
- 吉田繁治(2012.10)『マネーの正体』ビジネス社
- 午堂登紀雄(2012.4)『日本脱出』あさ出版
- ウォルター・ブロック(2011.2)『不道徳な経済学』講談社+α文庫
- 内藤忍(2011.4)『こんな時代を生き抜くためのウラ「お金学」講義』大和書房
- 瀬川正仁(2008.8)『老いて男はアジアをめざす』バジリコ
- 増田悦佐(2012.1)『日本と世界を直撃するマネー大動乱』マガジンハウス
- 藤沢数希(2011.10)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門..
- きたみりゅうじ(2005.10)『フリーランスを代表して申告と節税について教わっ..