2007年02月25日

これからの資産形成を考える会(2005.12)『「長期」「分散」「最適」で考える世界一シンプルな投資法』講談社

 乙が読んだ本です。
 230 ページ弱の本ですが、第1章が 146 ページまでを占め、記述の中心ということになります。
 では、第1章は何か。「米国投資教育から学ぶ最新資産形成プラン」というものですが、p.146 の注意事項がすべてを物語ります。「本章資料は米国バンガード・グループ社の承認を得て、同社の日本子会社であるバンガード・インベストメンツ・ジャパン証券が、米国本社が米国の投資家のために作成した資料をできうる限り正確に翻訳したものです。」とあります。第1章の内容は、投資の進め方や定年退職後の生活設計などで、まともな記述なのですが、出てくる実例はドルで表示されたものですし、個人ごとの資産形成に至っては、個人差が非常に大きく、日本人にはあまり参考にならないのではないかと感じました。
 第2章は「世界のプロに教わった投資の本質」です。p.160 には、集中投資の失敗例を扱った本の話が出てきます。p.162 では、リスクを下げるためには分散投資しかないと説きます。当然のことですが、世の中には、集中投資を進める本もありますので、やはりきちんとしたことをきちんと述べておくのも必要なことです。
 第3章は「ケーススタディで読み解く資産形成プラン」です。日本人の四つのケースが取り上げられます。まあ似たような境遇の人にとっては役立つ記述かもしれません。しかし、個人の境遇は本当にさまざまですから、自分のそれにぴったり当てはまらない人にとっては、本章の記述はムダなだけかもしれません。
 p.186 では、投資収益率 3% ということで話を進めます。乙の目標(7%)よりもだいぶ低いです。現在の超低金利時代の運用投資収益率として見た場合、決して簡単な運用ではないといいますが、それにしてもどうでしょうか。ミディアムリスク・ミディアムリターンといえばいいのかもしれませんが、超低金利時代は、歴史的に見ても異常なのであり、いつかは金利が回復するのが当然ですから、3% などという低い利回りで考える必要はないと思います。(もっとも、リスクが低いのだからそれがいいという人は、それはそれでいいのでしょうが。)
 全体として、本書はあまりおすすめではありません。読んでも説得力がないように思えました。


ラベル:投資
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posted by 乙 at 04:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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