副題に引かれて、読み始めましたが、中身はマネー入門ということで、まさに「マネー」とは何かを論じています。歴史的な観点も入っており、世界のあちこちの実例を取り上げつつ、多面的にマネーを見ていきます。
第6章「21世紀の新しいマネー 巨大デリバティブはどこへ向かうのか?」では、デリバティブを「新しいマネー」ととらえている点がおもしろかったです。デリバティブは新しいマネーなんですね。確かに、そういわれればそうも見えます。それを作り出すことができたアメリカは、ある時期だけ見れば、無から有を作り出したことと同じで、金融で大儲けをしたといえそうです。
第7章「われわれのお金はどこへ、どう流れているか」は、資金循環表などを用いて個々人のマネーが全体としてどんな動きになっているかを述べます。日本の財政破産の問題も扱われますが、たとえば、約30%ご破算になる程度のことであり、若い人にとってはむしろ希望を与えることかもしれないと述べています。マクロに見ればそういうことかもしれません。30%のご破算というと、あまり大きな問題ではないような気がしてきました。だって、株価が下落すれば資産の30%くらいは吹っ飛んでしまうことがあるでしょう。その程度のことで日本が再生するなら、一度財政破産をやってみてもいいかなと思います。
ともあれ、本書を読んで「マネー」について、改めて考え直すきっかけになった気分です。
投資家は、どんなことがあろうとも、最善の道を進まなければなりません。本書は、そういうことを考えるための基礎知識が得られるといったところでしょうか。
ラベル:マネー
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