タイトルにひかれて読みました。
本書は、ダイヤモンド・オンラインの2012年に連載した「経済大転換論」を編集したものです。
図表をふんだんに掲載し、しっかりした記述になっています。
著者が言いたいことは3点です。
(1) これまでの金融緩和策は実体経済を活性化できなかった
(2) 日銀引き受けで国債を発行すればインフレになる
(3) 日本経済活性化は構造改革によってしか実現できない
これらのことを具体的な資料に基づきながら緻密に論証していきます。一読すると、野口流の考え方に染まってしまいそうです。(それでいいと思いますが。)
では、タイトルとの関連はどうなっているのでしょうか。
p.239 に結論が書いてあります。日銀の消費者物価上昇率2%の目標は達成できないということです。では、なぜこんな目標を掲げるのか。野口氏によれば、「金融緩和の本当の目的は、物価上昇率を引き上げることでもなく、経済を活性化することでもなく、日銀が国債を購入することなのだ。」というわけです。
乙は、これを読んで、すとんと腑に落ちました。そうか、こういうことだったのか。
こうして、日銀が国債を引き受けることでインフレと円安が起こり、資本逃避が起こるということです。
これが第9章「財政赤字と金融緩和で国家は破綻する」の結論です。
今のままでいけば、日本はこうなるだろうという予測です。これを変えることができるでしょうか。今の政治家たちを見ていると、到底不可能なように思えます。投資家としては、インフレ・円安・資本逃避に備えるしかないようです。
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それで、伝統的な長期分散投資に首をつっこんでみたり、
貴殿のおキライな油虫(「アブラハム・プライベートバンク」とも呼ぶ)や、
IFA−Japanともコンタクトをとって、
通貨分散やオルタナティブ投資の方策を模索してみたりもしたのですが、
辿り着いた結論:
X−Dayが具体的に、いつ、どの様に訪れるのか、皆目検討もつかず、
国内で一生を過ごす予定の、海外を頻繁に訪れるワケでもない普通の日本人にとって、
最も流動性が高いのは、目下のところ、やはり銀行の円預金です。
数億円以上もの資産を所有しているなら、話はまた別ですが、
そうでない一般貧乏人の私達が、あえてその流動性を犠牲にしてまでリスクをとっても、
国家破綻で泣きを見る前に、
面倒だけを買って、有金の大半をカモられて泣く確率の方が遙かに高い気がします。
でも、本当にX−Dayが来たら、やりきれませんね(いつかは来るハズですけど)?
その様な次第で、私は、まずとりあえずはこの話に関してはいっさい耳に栓をしておき、
トレード(投機)技術の習得に専念する事にしました。そうして、
X−Dayまでに大金持ちになって、有り余る資産を海外へ無事逃がせられればめでたし。
間に合わなくて、X−Dayが訪れ、国家にスッポンポンに剥かれてしまっても、
相場からお金を頂戴する技術だけは今のうちにシッカリと身につけておけば、
その様な状況下に置かれても、また浮かび上がるスベもあろうかと。
少なくとも、貧乏人が、相場もろくに見られないのに、
取って付けた国家破綻対策に身をやつしても、更に貧乏になるだけの気がしてなりません。
昨年の円高ピークの際、
私はウィントンのマネジド・フューチャーズの米ドル建てに、
1千万円入れようとしましたが、怖くて躊躇し、できませんでした。
その後程なくして、同ファンドの最低投資金額は1億円にハネ上がり、
今やすっかり円安が定着して、絶好の投資機会を完全に逃してしまいました。
でも私はこの事を後悔していません。
私にとって、1千万円はハシタ金ではありません。
上記の事は全て後付でわかった事で、その時点での的確な判断は無理でしたし、
逆に自分に不利な方向に動いた際のリスク回避の方策が見つからなかったからです。
小回りの利くトレードならば、LCという極めて有効なリスク回避手段も選べますが。
別に数億円の資産がなくても、ヘッジファンドへの投資自体は可能ですが、
数億円以上の資産がなければ、そのメリットは活かせないと私は思います。
「ドルコスト平均法」(言い換えれば、価格のV字型回復を狙ったシステマチックな逆張り戦略−でもA字型で変動したらどうするの?)と、
「バイ・アンド・ホールド」(世界経済は限りなく拡大する?−長期的視野に立てばの長期って一体何年の事なの?)に、
当初疑問を抱きはじめた私が、最終的に辿り着いた結論を要約すれば:
「現金は資産の王様である(ジェシー・リバモア)」。
おもしろいコメントをありがとうございました。
投資にはいろいろな考え方があり、「正解」はないように思います。
結果論はいくらでもいえますが、そんなことは事前にいえなければ無意味でしかありません。
それぞれの個人ごとに状況が違うでしょうし、扱っている資産の額も違いますから、同じ結論に至るとも思えません。
1千万円は、乙にとっても大金です。
つぎこむべきや否やといった局面になったら、考えてしまいます。
結論は出ないでしょう、きっと。
それでいいのではないでしょうか。正解はないのですから。
トレード技術を磨き上げることも、それはそれで重要なステップなのだろうと思っています。