2013年06月23日

吉本佳生(2011.10)『日本経済の奇妙な常識』(講談社現代新書)講談社

 乙が読んだ本です。
 今の日本では常識とされていることで、どうにもおかしいことがあるということで、グラフなどを多用して「奇妙な常識」に反論していきます。
 書かれてあることには賛成ですが、どうにも説明が長かったりして、くどさや読みにくさを感じてしまいました。吉本さん、ごめんなさい。
 乙が本書で一番おもしろいと思ったのは、第5章(pp.235-)の復興国債の話です。福島の原発事故に関わる「復興」は、どのようにするべきかをめぐって議論が続き、なかなか復興が進まないわけですが、それをお金の面から促進しようという発想です。普通の10年ものの変動金利の個人向け国債よりも少しだけ高い金利で個人に対して発行する国債です。中途換金時には金融機関に売却できるということにします。
 このアイディアがどういうものであるか、投資家・国・金融機関・被災者にとってどんなメリットがあるのかは本書を読んでいただくとして、こういうアイディアがあるということだけでも、うれしい話でした。
 乙はこのアイディアを本書で読んでびっくりしたわけですが、こういう話は国レベルでは全然検討もされないようです。残念なことです。
 もう一つ、pp.245- ですが、日本が財政破綻したとき、どうするべきかを事前にきちんと検討しておくという話です。とても大事なことです。財政破綻するかもしれないけれど、しないかもしれません。しかし、万が一財政破綻したら、そのときになってからあれこれを短期間に(泥縄式に)決めるのでなく、事前に決めて国民に知らせておくというのは望ましいことだと思います。政治家の数を半分にするとか、公務員の数をここまで削減するとかいうことです。
 今は、財政破綻しないことを前提に、何も決めていないわけですが、それでは、現在大学を出て公務員になる人は、公務員がクビになる可能性なんて考えもしないことになります。しかし、事前にそういうことがあると決めてあれば、その覚悟で就職活動をするでしょう。どんな破綻処理をするのかを各党が提案して、選挙の公約に掲げるなどというのは、興味深い話でした。
 本書の主要な内容でないところでコメントしました。
 重ね重ね、失礼しました。


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posted by 乙 at 08:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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