2007年03月25日

Dominion ファンドには投資しません。

 ブログの読者の方から、メールで質問がありました。Dominion ファンドについてどう思うかというものです。
 乙は、このファンドの購入について検討したことはないのですが、せっかくなので、これを機会に考えてみることにしました。
 海外のファンドなので、本来は英語による情報を集める必要があるのですが、日本語で WWW を検索しても十分な情報が集まります。
 検索エンジンで「Dominion」「ドミニオン」「ウィズプロフィット」などをキーワードにして検索してみました。
 まず、Dominion ファンドを高く評価し、購入を勧めている記事がいくつかありました。
http://kaigaitoushi.com/bbs/upl/575.pdf
http://www.fplink.co.jp/fund.html
http://offshoremoney.blog13.fc2.com/blog-entry-15.html
http://www.melma.com/backnumber_13726_2336630/
などです。
 しかし、こういうのは、販売側の「広告」のようなもので、ほとんど意味はありません。
 このファンドは広く株式、債券、プロパティなどに分散投資しているヘッジファンドなんですね。しかも、レバレッジ3倍をかけているということです。こういうのは「安定的」ではありえません。ハイリスク、ハイリターンになります。(レバレッジをかけない投資法も可能だそうですが、それでは成績があまりに平凡です。)
 そういう目で見ると、ブログの中には、かなり気になる記述もあります。
http://principalpartners.blog55.fc2.com/blog-category-6.html
では、
ウィズプロフィット運用は、英国の年金運用などに使われる伝統的な運用手法で、スムージング手法とも言える。日々の運用における超過収益を特別勘定口座(リザーブアカウント)に蓄積し、運用成績が悪いときに蓄積した利益を放出し、パーフォマンスの安定を図るというもの。
としています。
 しかし、ファンドの場合、こんなめんどうな操作をするよりは、単純に基準価額を上下させるほうがいいに決まっています。シンプルなのが顧客にとって一番わかりやすいのです。今のやり方は、顧客の目をごまかして、本来このファンドがもっているボラティリティを小さく見せようというゴマカシ術に過ぎません。
 同様に、
http://blog.livedoor.jp/m_hidaka/archives/50453279.html
では
この手法は、「好調な市場環境の時期に累積された準備金が、市場環境がマイナスの時期に割り当てられる」というものです。つまり、パフォーマンスの良い時の収益を留保しておき、悪いときに充当するわけです。これにより、ボラティリティ(騰落のブレ)がスムーズ化され、中長期的に安定した収益を得ようとしています。
とありますが、これも同様の議論が当てはまります。
 また、この記事には「・ロング&ショートではなく、ロングのみの投資となるため、安全性が高い。」ということも書いてありますが、ロング(買い持ち)戦略が安全だということはありません。買った資産が値下がりしてしまえば、大きなマイナスが出ます。
 さらに、
http://blog.livedoor.jp/m_hidaka/archives/50456216.html
では、
このファンドひとつで、分散投資効果が望めますので、多くのファンドをPPBのようなラップ口座で扱う様な効果が期待できます。初心者として最初に始めるファンドとしても良いかと思います。
としていますが、最低投資額が5万米ドル以上であり、乙の感覚では初心者向きではありません。レバレッジをかけるということと分散投資というのは両立しない考え方だと思います。
 さて、このファンドに対する否定的な意見もあります。
http://www.kaigaigyousha.com/kakolog/kako1948.htm
が典型的でしょう。
http://www.kaigaigyousha.com/kakolog/kako796.htm(ただし英語です)
http://www.kaigaigyousha.com/kakolog/kako845.htm
http://www.kaigaigyousha.com/kakolog/kako1065.htm
などの関連記事もあります。「このファンドは低リスクと説明されていたが投資資金の80%以上を失うという事態に陥った。」とのことです。レバレッジをかけている以上、こういうことは起こりうる話です。ハイリスクということはこういうことです。
 というようなわけで、乙なりの結論は次のようなものです。
 このファンドは、ハイリスク・ハイリターンのヘッジファンドであり、初心者が気軽に購入するようなものではないと思います。100万ドル以上の運用資産がある人が、5% 程度の資産をこのファンドに振り向けるというような使い方の場合は、投資の可能性があるかもしれません。それにしても、年間手数料 1.68% が高いので、躊躇しますが。
 乙の場合は、自分の運用資産総額のことも考えて、このファンドには投資しません。
 ヘッジファンド全般をどう考えるべきかについては、乙の考え方もだんだん変わってきていますので、この点については、さらに日を改めて考えてみたいと思います。
posted by 乙 at 05:05| Comment(4) | TrackBack(0) | 海外ファンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして
いつも参考にさせていただいております。
私のブログ「海外投資生活」http://independenceday2030.blog93.fc2.com/ にリンクを貼らせていただきました。
これからも有益な情報を期待しております。
Posted by ミルフィーユ at 2007年03月25日 22:53
ドミニオンは相場好調時に利益を取り置きしていますので、下落相場が長く続くとそれが底をついてしまい上がらなくなるという構造的欠陥が指摘されていますね。

どうせヘッジファンドを買うならショートも使う奴の方がそのメリットを生かせると思います。
Posted by Vibrate at 2008年03月09日 08:14
いつも興味深く拝見させていただいております.
サブプライム以前にあるFPからこのファンドを進められ,かなり迷いましたが,乙川様のブログを見て投資をやめた者です.
最近dominionのホームページが見られなくなってしまいました.乙川様は何か御存知でしょうか?
私としては,サブプライムでどうなったかかなり気になっております.御存知でしたらご教示お願いします.
Posted by ミヤオ at 2009年07月23日 15:29
ミヤオ様
 残念ながら、乙は何も知りません。
Posted by at 2009年07月23日 17:13
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