2013年08月04日

孫への教育資金の贈与

 乙が先日別件で三菱UFJ信託銀行に出かけたとき、窓口に教育資金贈与信託「まごよろこぶ」のパンフレットが置いてありました。孫への教育資金が1500万円まで非課税で贈与できるという仕組みです。
 ネットにも広告が出ています。
http://www.lifeplan.tr.mufg.jp/zei/mago/index.html
 パンフレットには大きな文字でこう書いてあります。「手数料無料! 管理手数料のほか、払い出しにかかる手数料も無料でご利用いただけます。」
 手数料無料と聞くと、ちょっと心が動きます。
 しかし、パンフレットの下の方に小さな文字でこう書いてあります。(ネットの広告には書いてありません。)「次の信託報酬がかかります。【運用報酬:3月・9月の各25日および信託期間満了日に、金銭信託5年ものの運用収益から予定配当額(予定配当率と信託金の元本により計算される額)等を差し引いた金額。】
 確かに「手数料」は無料なんでしょうが、信託報酬が、何ともわかりにくい表現で書いてあります。
 念のため、乙は、信託銀行に電話して聞いてみました。その説明によると、これは、金銭信託で運用するので、たとえば、運用先から 0.08% の利息をもらって、預金者に 0.05% の利息を付けるとすれば、0.03% を信託銀行がもらうということだそうです。つまり、利用者には表だった負担はないということになります。

 さて、乙の場合に当てはめながら、これを申し込むかどうか、ちょっと考えてみました。
 教育資金は、孫一人あたり1500万円くらいはかかりそうです。
http://www.lifeplan.tr.mufg.jp/zei/mago/qa.html
によると、幼稚園から高校までの教育関連費用は、公立で500万円、私立で1700万円という話です。
 乙の場合、息子の一人が大学に進学したときは、授業料だけで年間200万円かかりました。6年も通ったので、それだけで1200万円かかったことになります。
 したがって、1500万円の贈与というのは現実的です。全部が教育のために使われる(そのような制約が付いている)というのは、祖父母の側にしてみれば、何ともありがたいものです。
 息子にそれぞれ孫が生まれるとして、孫の数を4人と考えましょうか。平成27年末までに4人生まれるかというのは不透明ですが、まあ、そう仮定しましょう。
 孫によって金額に差を付けるのはよろしくありませんから、平等に贈与するとします。1500万円ずつとすると、4人で合計6000万円です。贈与税を減らすにはまずまずの額でしょう。
 もっとも、今の時点で6000万円を贈与すると、ちょっと大変です。今、自宅を売るわけにも行きません。したがって、あちこちに投資している資金を環流させないと6000万円の現金はすぐには用意できません。つまり、6000万円は金額的にちょっと多いようです。
 一人500万円とすると、4人分合計で2000万円で、これだったら、さほど負担感もなく現金が用意できそうです。現実的にはこんなものでしょうか。
 しかし、一人500万円ならば、こんな制度を使うまでもなく、ときに触れ、年間100万円ずつ贈与すれば、5年ほどで500万円が贈与できてしまいます。ただし、普通の贈与では使用目的が「教育」に限定されません、当たり前ですが。
 とすると、教育資金贈与信託は、どんな人が使うといいのでしょうか。
 まず、祖父母が高齢で、何年もかけて贈与するのが間に合わないような(はっきり言えば死期が近づいている)人でしょう。孫が小学生以下でこれから教育費がかかる家庭である必要があります。贈与する金額が孫一人あたり数百万円というよりは1千万円以上あるといいでしょうから、運用資産数億円レベルの人ではないでしょうか。
http://nissya.com/archives/27670774.html
によると、「三井住友信託銀は27日までに2150件の契約を獲得し、213億円の入金があった。三菱UFJ信託銀も約3500件、入金額242億円の契約を得ている。」ということで、1件あたり平均1000万円といった感じです。

http://www.paci-gakushi.com/money/3469/
によると、「「電通」は孫への教育資金の贈与について、首都圏に住む小学生までの孫がいる50歳以上の祖父母2000人を対象にインターネットで調査しました。それによりますと、全体の45%の祖父母が「贈与したい」、「検討してみたい」と贈与の意向を示しているほか、祖父母と孫が同居している場合、この意向は半数以上の52%に上っています。また、贈与したいと考えている金額は平均で482万円だということです。」とあります。
 乙の場合、孫が3人だとすると、1千万円ずつ贈与すれば、3千万円になります。このくらいがせいぜいですかね。

http://kotominori.blog88.fc2.com/blog-entry-639.html
によると、申し込むなら(乙の場合、2013年9月を過ぎてしまいそうなので)、三菱UFJ信託銀行がよさそうです。
 なお、教育資金贈与信託は、孫一人あたり1500万円までということなので、嫁側の親がもしも教育資金贈与信託をしたいと言い出せば、合計で1500万円という制約があることになります。まあ言い出さないとは思いますが。
 さて、どうするか。悩ましいものです。
 孫が生まれる前に悩むのはおかしいですね。
posted by 乙 at 05:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 老後の生活 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも興味深いお話、ありがとうございます。この話を別信託銀行うかがいました所、死亡の3年前からの分に遡って贈与税がかかるということを知りまして、びっくりした次第です。
Posted by 赤野他人 at 2013年08月05日 10:41
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