2013年09月22日

吉本佳生(2013.4)『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)講談社

 乙が読んだ本です。とてもわかりやすい本です。
 日本は賃金デフレの状態にあるから、低所得者層の賃金を上げて、賃金格差を小さくし、これによって景気を回復させようという主張です。
 図表が多用されます。巻末の図表目次によれば68枚あります。データを示して、それに基づいて議論するというのはわかりやすいし、説得力があります。
 日本社会の問題点と景気を回復させようという話がリンクして、全体として首肯できる提言だと思いました。
 日本社会の問題点とは何か。「男・大・正・長」と「女・小・非・短」の間の格差です。前者は、「男性、大企業、正社員、長期就労者つまり中高年層」で、and (論理積)でとらえます。この人は高い給与をもらっています。一方、後者は「女性、小企業、非正規社員、短期就労者つまり若者」で、or (論理和)で考えます。どれかにあてはまると低い給与しかもらえないということです。両者の間の格差が大きいことが問題ということになります。
 乙の感覚では、これをなくせば景気が回復するという主張は正しいと思われますが、しかし、一方では、高い給与をもらっている人たちが収入が多いわけで、そういう人たちがある種のパワーを持っている以上、日本のあり方を変えていくのはきわめて困難だろうと思います。

 著者の吉本氏の主張を手っ取り早く理解するためには、第5章を読めばいいでしょう。
 なお、第6章は、人口を都市部に集めて地価を上昇させ、押しくらまんじゅう政策で日本を暖めるという話になります。これまたおもしろいと思いました。ただし、こちらも、地方が1票の格差ということである種のパワーを持っている以上、なかなか変えられないだろうと思われます。
 本書を一読して、著者はとてもいいことをいっていると思うのですが、「わかっちゃいるけどやめられない」が現状なんですね。
 さて、どうしたらいいのでしょうか。


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posted by 乙 at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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