前著『起業バカ』
2007.3.29 http://otsu.seesaa.net/article/37135377.html
に続くもので、似たような調子で書かれています。
一番おもしろかったのは、p.207 です。一部引用します。
ハッキリ言おう、この本を手に取った多くの読者は、「ちょっと起業でもしてみようかな」と思っているはずだ。だが、そんなヤツらは間違いなく社長の資格 qualification はない。「社長になっちゃいけないヤツ」だ。だから、99%失敗する。【中略】何とすごい言い方でしょう。読者の心を見透かされたようなことばです。乙は、別に起業するつもりではないですが、会社を作り経営するということはどういうことか、知りたくて、手に取ってみたのでした。この1節には驚きました。
そもそも素質 potential のある人間は、私の本を読む前に、とっくのとうに起業している。まずは実際にやっているのだ。私の本を読んでいる時間なんてない。その意味では、本書を読んでいるようなあなたに、起業の資格なんぞないと断言 assert してもいい。
p.129 には「脱サラ 35 歳説」が出てきます。起業適齢期というのがあるそうで、それが 35 歳とのことです。乙は、とうの昔にその年齢を過ぎていますから、今さら起業はできません。しかし、起業する人たちの考え方を知ることは、意味のあることで、中小企業に投資するかどうかなどと考えるときにも、参考になると思いました。しかし、本書で描かれるような人たちは、株式公開まで行かずに失敗して、廃業してしまった人たちですので、投資の参考にはなりませんでした。まあ社会勉強と考えればいいのではないでしょうか。
本書全体として、前著との重なりが感じられ、あまりおもしろいとは思いませんでした。「二番煎じ」といえばいいでしょうか。
ただし、後書きが大変おもしろかったです。前著で書いた教育系フランチャイズから著者が訴訟を起こされたことを書いています。どう決着するのか、興味が尽きませんが、著者は、本書と前著の2冊で、いいたいことをズバズバいっているわけですから、このような訴訟は当然のことでしょう。著者には、そんなことに負けずにがんばっていってほしいと思います。
【関連する記事】
- 香川健介(2017.3)『10万円からできる! お金の守り方教えます』二見書房
- 大江英樹、井戸美枝(2017.2)『定年男子 定年女子』日経BP社
- 天達泰章(2013.6)『日本財政が破綻するとき』日本経済新聞出版社
- 安間伸(2015.11)『ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金編 ..
- 橘玲(2014.9)『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 2015』幻冬舎
- 橘玲(2014.5)『臆病者のための億万長者入門』(文春新書)文藝春秋
- ピーター・D・シフ、アンドリュー・J・シフ(2011.6)『なぜ政府は信頼できな..
- 小幡績(2013.5)『ハイブリッド・バブル』ダイヤモンド社
- 吉本佳生(2013.4)『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)講談社
- 川島博之(2012.11)『データで読み解く中国経済』東洋経済新報社
- 吉本佳生(2011.10)『日本経済の奇妙な常識』(講談社現代新書)講談社
- 野口悠紀雄(2013.1)『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社
- 吉田繁治(2012.10)『マネーの正体』ビジネス社
- 午堂登紀雄(2012.4)『日本脱出』あさ出版
- ウォルター・ブロック(2011.2)『不道徳な経済学』講談社+α文庫
- 内藤忍(2011.4)『こんな時代を生き抜くためのウラ「お金学」講義』大和書房
- 瀬川正仁(2008.8)『老いて男はアジアをめざす』バジリコ
- 増田悦佐(2012.1)『日本と世界を直撃するマネー大動乱』マガジンハウス
- 藤沢数希(2011.10)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門..
- きたみりゅうじ(2005.10)『フリーランスを代表して申告と節税について教わっ..