ちょっとショッキングなタイトルですが、これは『なぜ(個人投資家が行う)株式投資はもうからないのか』という意味ですから、誤解を招きやすいタイトルだと思いました。
IPO の問題点、機関投資家や証券会社が有利であること(それと対比すれば個人投資家は不利であること)、日本の新興市場の問題点、などをわかりやすく述べています。株式市場は、金のある人が有利になるようにできており、その意味で不公平なんですね。著者は、外資系の証券会社などを経てきているとのことで、内部事情にも通じています。
いろいろ考察した後で、結論をいえば、p.215 で述べているようにインデックス投資に行き着くとのことです。結論は平凡ですが、そこに行き着くまでのさまざまな話がおもしろかったです。一読しておく価値はあると思います。
乙が一番おもしろいと思ったところは p.126 で、投資家は、証券会社(の社員)を食わしているという発想です。個人投資家が株の売買をすればするほど、証券会社に手数料を貢ぐことになるわけです。インデックス投資ならば、一度買って、ずっと保有するだけですから、証券会社に貢ぎません。その分だけ、成果が投資家に返ってくると考えられます。これは普遍的な真実と言えるでしょう。
【関連する記事】
- 香川健介(2017.3)『10万円からできる! お金の守り方教えます』二見書房
- 大江英樹、井戸美枝(2017.2)『定年男子 定年女子』日経BP社
- 天達泰章(2013.6)『日本財政が破綻するとき』日本経済新聞出版社
- 安間伸(2015.11)『ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金編 ..
- 橘玲(2014.9)『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 2015』幻冬舎
- 橘玲(2014.5)『臆病者のための億万長者入門』(文春新書)文藝春秋
- ピーター・D・シフ、アンドリュー・J・シフ(2011.6)『なぜ政府は信頼できな..
- 小幡績(2013.5)『ハイブリッド・バブル』ダイヤモンド社
- 吉本佳生(2013.4)『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)講談社
- 川島博之(2012.11)『データで読み解く中国経済』東洋経済新報社
- 吉本佳生(2011.10)『日本経済の奇妙な常識』(講談社現代新書)講談社
- 野口悠紀雄(2013.1)『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社
- 吉田繁治(2012.10)『マネーの正体』ビジネス社
- 午堂登紀雄(2012.4)『日本脱出』あさ出版
- ウォルター・ブロック(2011.2)『不道徳な経済学』講談社+α文庫
- 内藤忍(2011.4)『こんな時代を生き抜くためのウラ「お金学」講義』大和書房
- 瀬川正仁(2008.8)『老いて男はアジアをめざす』バジリコ
- 増田悦佐(2012.1)『日本と世界を直撃するマネー大動乱』マガジンハウス
- 藤沢数希(2011.10)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門..
- きたみりゅうじ(2005.10)『フリーランスを代表して申告と節税について教わっ..