2007.5.1 http://otsu.seesaa.net/article/40471414.html
で述べたように、Interactive Brokers 証券(IB)を両替・送金の手段として考えると、ちょっと口座維持手数料(毎月10ドル)が高いと思います。
しかし、さらに考えてみると、こういう手数料体系だということは、FX を利用するときのように1万ドル単位で送金しなくても、もう少し細かく分けて送金してもいいということです。
IB 自体が証券会社ですから、ここで ETF を買うこともできます。
たとえば、毎月30万円(2500ドル)を IB に送金し、毎月一つの ETF を(IB で)買う。これを継続するならば、メリットがあるかもしれません。Firstrade だったら、1回の購入で手数料が 6.95 ドルかかるわけですから、それを払ったつもりになれば、毎月 10 ドルはしかたがない範囲だということになりそうです。
1年間で3万ドルを投資することを仮定して、手数料を計算してみましょう。
IB では、$2500×12 で ETF が買えます。手数料が 120 ドルかかります。
一般ルートで1万ドルずつ3回送金し、Firstrade で ETF を 5000 ドルずつ6回買うとすると、手数料は¥5000×3+$6.95×6≒167 ドルになります。
ということで、何回も売買すると、IB のメリットが活きてきます。
毎月50万円を投資する場合は、どうでしょうか。IB では、120 ドルの手数料で変わりません。しかし、一般ルートでは、1年で5万ドルですから、¥5000×5+$6.95×10≒278 ドルになります。
つまり、IB は、ちょこちょこと回数を多く(月1回以上)売買し、投資金額が比較的大きく、しかもそれをずっと継続する人が使うには好都合の証券会社だということになります。
ただし、送金と ETF の購入をストップして、じっとホールドしているときでも、毎月10ドルの維持費がかかるのですから、こうなったときはつらいでしょう。上記のように、毎年3万ドルを投資する場合で、1年間の差は約 47 ドルですから、IB で3年継続して投資したら、1年くらいそのままにしておいても合計の手数料は同じくらいということになります。15年継続したら、6年弱休んでいいということです。毎年5万ドルを投資する場合では1年継続したら1年休みでもいいという計算になります。
乙は、長期分散投資を考えた場合、今はアメリカで ETF を買うことが望ましいと考えていますが、この考え方が何年もずっと続くでしょうか。う〜ん。自信がありません。数年後に、○○のほうがいいというような突然の開眼があるかもしれません。その金融商品が IB の扱うものであればいいのですが、そうとは限りません。
また、分散投資の考え方から言って、ETF だけでなく、別のものに投資することも十分考えられます。しかし、IB を使っていると、他のものに手を出しにくいことになるでしょう。
IB の口座維持手数料(毎月10ドル)は、なかなか微妙な料金設定をしているということですね。
【関連する記事】
- Interactive Brokers の新しいセキュリティデバイス
- Security Device の変更
- Interactive Brokers の Webinar
- Interactive Brokers で日本株や ETF を買う?
- Interactive Brokers では joint account 口座は..
- 香港ドルへの両替と HSBC 香港への送金
- 久しぶりに Interactive Brokers にアクセスしたら
- Interactive Brokers の日本での電話対応
- Municipal Bonds
- Interactive Brokers への入金処理
- GTC 注文の有効期間
- GTC という期間設定
- Interactive Brokers で購入できる新商品
- Interactive Brokers での両替
- HSBC 香港から Interactive Brokers 経由で日本の銀行に資..
- Interactive Brokers の WebTrader での問題
- IBCI を2回購入?
- Interactive Brokers 経由で IBCI を買おうとすると
- WebTrader でも IBCI は購入できず
- WebTrader で両替できます。
金融会社と金融商品では、違う形の競争が起きるというのが私の勝手な予想です。金融会社間での競争では顧客数を多く持つ古参が一般に有利。そのいっぽうで、政府・金融当局からの外的な力(法律改正など)で、新しく有利な金融商品はこれからも出うる、というものです。
私も長い期間を考えて、ブローカーを選びました。安い手数料で最近はやりの証券会社が、数十年にわたって安定した経営をしてくれるのか不安です。乙さんがおっしゃるように、金融商品の取り扱いが先細ってしまう可能性も含めて。
ETFも、10年後に他の金融商品に対して比較優位を保っている保証はありません。ただそれはETFが劣悪になるのではなく、よりよい商品が出るからだと思うのです。ETF人気の2000年以降の躍進、投信:ETFが2:1という現状(下記の記事の図を参照)を見るにつけ、ウォールストリートや金融当局がこれだけ多くのETF利用者を突き放すようなことはないと思います。よりよい商品が出たら、そのときに損を出さずに乗り換える方法がきっと準備されていると思います。
http://www.economist.com/finance/displaystory.cfm?story_id=9044408
いつも拝見させていただいております。
ETFや市場株式ならば、普通、証券会社間で資産移管できると思います。
この事実が全てを解決しやしないでしょうか。
売買機会がなくなり、固定コストを避けたければ、その時点で固定費用のかからないその他証券会社等にETF資産をそっくり移管すれば、最悪解決する話だと思います。
私は試したことがないので、本当に出来るかどうかは完全に保証はできませんが、月額10ドルは個人口座のデータ取得費用なので、売買をしないのならばマーケットデータ入手設定でチェックをはずすだけで、論理的にIBの月額10ドルのコストはセーブできると思います。
売買しないのであれば、マーケットデータなどもそもそも必要ないので、これが可能ならば最も手っ取り早いソリューションと思います。
(将来、それが必要なシチュエーションになれば私はそうするつもりでいます。)
IB派からの一言でした。
ご参考になりましたら幸いです。
なるほど。他の証券会社にそっくり移管ですか。その手がありましたね。
ただし、Interactive Brokers は両替・送金も行えますから、ここの口座を閉じるということは、両替・送金の手段をなくしてしまうことになります。
というわけで、少しずつ日本に送金するか、海外の口座にどかっと送金して、投資をやめるというのが現実的かもしれません。
なお、月額10ドルは、データ取得費用なのですか。口座維持手数料だと思いましたが。
もしもデータ取得費用ならば、いつでもそれを OFF にしておいて、毎回の取引に必要な手数料だけを払う形にした方が圧倒的に安いということになります。たぶん、それはできないのではないかと思いますが。
当方コメントも多少はお役に立てたようでうれしい限りです。
ちなみに下が実際の費用徴収明細です。(円表示、10ドル相当)
Date Description Amount
2007-03-15 FEB DATA FEES - US SEC. AND COMM. EXCHA -1,184.10
また、IBのアカウントマネージメントの設定画面が以下の通りです。
US Securities and Commodities Bundle Non-professional - Level I
Includes all Stock, Options, Futures and Bond markets (USD 10 if monthly commissions < USD 30) United States Free
この設定でチェックを入れているので、月額10ドルかかるわけです。(逆に言うとこのチェックをはずせば論理的に費用はかからないはず)
ただ1つ気になるのが、もし上記のような費用圧縮が可能で、IB口座の日本の長期投資家がこぞってそれをやりはじめると、IBも食い扶持を1つ失って結果、費用体系が悪化してしまうかもしれません。
気づいた人は、あまり露骨にやらず、こっそり小規模にやるのがよいかも(笑)
では、今後ともよろしくお願いいたします。
なお、上記の情報は、Fees → Required Minimums → Monthly Activityとたどると出てきます。