乙は「団塊の世代」よりも若いのですが、いろいろと親近感を感じる面があり、タイトルにつられてこの本を買ってしまいました。
本全体としては、各種の意識調査を駆使して、「団塊の世代」がどんなことを考えているかを述べたものです。本書の大部分は4ページずつで、一つの質問項目の集計結果とその解釈から成っています。ただし、調査したときの回答者の人数とその集め方が書かれていないのは大きな欠点でしょう。(結果の信頼性に直結する問題です。)
資産運用についても、いくつか質問項目があります。
p.22-25 総務省の「家計調査(貯蓄編・負債編2005年)」を引用し、次のような数字を挙げています。
金融資産総額 負債 純金融資産
40代 1181万円 852万円 329万円
50代 1747万円 581万円 1166万円
60代 2367万円 224万円 2143万円
50代後半の団塊の世代は自由に使える金を一番多く持っているということです。
この感覚は妥当な気がします。乙が今までにそれぞれの年代で感じてきたことをぴたりと言い当てているような気がしました。
ということは、これから60代になったらどんな感じになるか、それは本書の通りになるのでしょう。
p.130-133 団塊の世代は、リスク覚悟で積極的な運用を考えていることがわかります。特に男性がそうです。
今後利用したい金融商品(預貯金以外)では、株式や投資信託、国債・公社債、外貨預金があげられており、積極性がわかります。
ただし、調査の結果では、団塊の世代が短期志向なのが気になります。投資は、もっと長期的な姿勢で臨むことが必要なのではないでしょうか。それは、高齢になったとしても同じことだと思います。
p.210-213 団塊の世代は空前の退職金と親からの相続資産を持ち、金融機関などはそれをねらっているところだという指摘は、まさにその通りです。金融機関に騙されないように、資産運用はしっかり勉強しておかなければ成りません。
読み終わって、乙の考え方・感じ方が「団塊の世代」とほぼ同じであることに驚きました。まるで自分のことが述べられているようです。
ただし、ちょっとドキッとしたことは、p.148「50代女性の約半数は、いまの夫との「離婚」を考えたことがある」というところです。乙の妻もそんなことを考えているのでしょうか。気になって聞いてみましたが、「考えていない」とのことでした。(ホントかどうか、わかりませんが。)
ともあれ、本書は、資産運用だけでなく、生き方や不安や興味などライフスタイル全般を扱ったものとして、大変おもしろく読めます。特に、団塊の世代、およびその前後の世代の人は一読しておく価値があるだろうと思いました。
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