データを積み上げて10年後の日本の状況を予測する内容です。
前書きも後書きもないので、ちょっとぶっきらぼうな気がします。目次のあとにいきなり本文です。
10年であれば、今の傾向を将来に延長して将来予測するという手法でいいのではないでしょうか。
数ページずつで、47項目について述べるスタイルなので、短くまとまっていて理解しやすいです。
たとえば、次のようなことが論じられます。
p.10 貧富格差が固定化される傾向が強い
p.23 消費税は2ケタになっている
p.32 日本中のインフラが老朽化する
p.42 退職金、企業年金が危ない
p.55 団塊の世代が「背伸び消費」して貯蓄率が低下する
p.92 フリーターが高齢化し、500万人にも達する
p.105 引きこもりの高齢化が進む
p.196 2010年、国債の大量償還があり、財政が破綻するかもしれない
p.200 長期金利が暴騰し、ハイパーインフレが来る
p.204 中国経済がますますヒートアップする
p.210 BRICs が台頭し、日本の新しいパートナーになる
他にも、いろいろな将来予測があるわけですが、全体として真面目に取材して、データに基づいて書かれているように思いました。ということはかなり信頼できるのではないかということです。
ただし、1項目の記述がかなり簡単に過ぎて、もう少しページ数を使って説得力のある書き方にしてもらえたらよかったのにと思いました。よい意味でも悪い意味でもジャーナリスティックに書かれていると言えます。
また、10年先の日本の予測では暗いものが多く、全体として日本はどうなってしまうのだろうかという不安がかき立てられます。このまま日本に投資していっていいのでしょうか。明るくない日本に過度に入れ込むことを避け、海外に投資したほうがいいような気がしてきました。もっとも、インデックス投資の考え方からすれば、こういう理由で日本に投資しないと判断することがむしろ問題なわけですが。
ラベル:10年後
【関連する記事】
- 香川健介(2017.3)『10万円からできる! お金の守り方教えます』二見書房
- 大江英樹、井戸美枝(2017.2)『定年男子 定年女子』日経BP社
- 天達泰章(2013.6)『日本財政が破綻するとき』日本経済新聞出版社
- 安間伸(2015.11)『ホントは教えたくない資産運用のカラクリ 投資と税金編 ..
- 橘玲(2014.9)『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 2015』幻冬舎
- 橘玲(2014.5)『臆病者のための億万長者入門』(文春新書)文藝春秋
- ピーター・D・シフ、アンドリュー・J・シフ(2011.6)『なぜ政府は信頼できな..
- 小幡績(2013.5)『ハイブリッド・バブル』ダイヤモンド社
- 吉本佳生(2013.4)『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)講談社
- 川島博之(2012.11)『データで読み解く中国経済』東洋経済新報社
- 吉本佳生(2011.10)『日本経済の奇妙な常識』(講談社現代新書)講談社
- 野口悠紀雄(2013.1)『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社
- 吉田繁治(2012.10)『マネーの正体』ビジネス社
- 午堂登紀雄(2012.4)『日本脱出』あさ出版
- ウォルター・ブロック(2011.2)『不道徳な経済学』講談社+α文庫
- 内藤忍(2011.4)『こんな時代を生き抜くためのウラ「お金学」講義』大和書房
- 瀬川正仁(2008.8)『老いて男はアジアをめざす』バジリコ
- 増田悦佐(2012.1)『日本と世界を直撃するマネー大動乱』マガジンハウス
- 藤沢数希(2011.10)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門..
- きたみりゅうじ(2005.10)『フリーランスを代表して申告と節税について教わっ..