2007年07月18日

石井紘基(2002.1)『日本が自滅する日―官制経済体制が国民のお金を食い尽くす』PHP研究所

 乙が読んだ本です。
 もともと 1,700 円の本ですが、古い本なので、もう新刊は入手できないでしょう。amazon の中古で 8,000 円から 29,000 円もします。乙は、この金額ではちょっと買えないなあと思って、近くの公立図書館で借りて読むことにしました。
 表題がすごいです。インパクトがあります。
 でも、一番すごいのは書かれている内容です。
 内容は、きちんと数字が挙げられていて、説得力があります。このままだと本当に日本が自滅するのではないかと思わせます。
序章 真の構造改革とは何か――「もう一つの日本」を直視せよ
 p.20 構造改革の目的は国家体制を官制経済から市場経済に移行させることだと述べます。日本はそうなっていないのです。
第1章 利権財政の御三家――特別会計、財投、補助金
 財政問題を論じています。
 第1節「誰も知らない日本国の予算」では、特別会計の規模が大きく、国会の承認を得ないで官僚がいろいろ金を使っている状態を好ましくないものとしています。一般会計85兆円だけを見ていては財政の本質はわかりません。日本の本当の予算額は260兆円なのです。
 第2節「究極の“裏帳簿”特別会計」では、道路特別会計、石油特別会計、港湾整備特別会計などの問題点を描きます。p.54 では、特別会計の大きさが不合理であることを述べています。
 第3節「官制経済を支える“闇予算”財投」では、財投の問題点に切り込んでいます。
 第4節「50兆円をバラ撒く補助金制度」では、補助金の使い方のずさんさが示されます。
第2章 経済むしばむ“官企業”――特殊法人と公益法人など
 日本道路公団、都市基盤整備公団、住宅金融公庫などの特殊法人の問題点をズバリ指摘しています。p.115 では、日本は社会主義の国だといっていますが、こういう実態を考えると首肯できます。
第3章 公共事業という名の収奪システム
 高速道路、港湾、空港、農道、ダムなどの公共事業が以下にムダなことをしているか、克明に調べて記述しています。
第4章 構造改革のための25のプログラム
 構造改革の具体的な提案です。官企業を全廃せよ、国家予算を半減せよなどといったことが25項目並んでいます。日本の進むべき道が具体的に示されています。官僚の抵抗は大きいですから、ここに書かれていることがそのまま実現するとは思いませんが、それにしても、こういうことが提案でき、実行できる人(政党)がほしいなあとつくづく思いました。
 著者の石井氏は元民主党所属の衆院議員でした。本書を読んでいると、まるで共産党の議員かと思ってしまいました。それくらいに、政府・自民党(のやってきたことや考え方など)を徹底的に攻撃しています。本書は石井氏のライフワークともいうべきものです。
 石井氏は2002年10月25日に刺殺されました。
http://www.interq.or.jp/pacific/getjapan/jounal/ISIIKOKI.htm
犯人の自供はいいかげんなもので、不自然です。やはり、石井氏の調査におびえた誰かが石井氏を暗殺しようと考えたのでしょう。ということは、この本に書いてあることの一部は正確な指摘だということになります。
 日本国の借金はますます増えています。
2007.7.16 http://otsu.seesaa.net/article/47959253.html
 なぜそうなったかを考える際には、この本で書かれているようなことが重要だと思いました。
 今の日本を眺めると、石井氏の指摘がその後改善されたわけでもありませんから、日本はひたすら自滅への道を歩んでいることになります。


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posted by 乙 at 03:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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