2007年08月15日

前田和彦(2007.8)『5年後にお金持ちになる海外投資』フォレスト出版

 乙が読んだ本です。
 前田和彦(2006.8)『5年後にお金持ちになる資産運用』フォレスト出版
2006.9.20 http://otsu.seesaa.net/article/24035583.html
の続編といった感じです。
 第1章「知らないから損する! 意外と知らない外貨投資&海外投資の常識」では、海外投資は常に有利なわけではないということを説きます。それはそうでしょう。要は、何をどのように活用すればいいのかということです。
 乙が気になったのは pp.35-40 あたりで、海外口座は意味がないと書いてあることです。海外口座開設ツアーがはやっているけれど、ブローカーがいろいろ手伝ってくれるようでいて、実は手数料収入を稼いでいるという話です。しかし、それはビジネスとしてやむを得ないものと思います。
 また、ブローカーが死んだら口座開設者が大変だという話が出てきますが、乙はそうは思いません。だって、ブローカーは口座開設の手伝いをしてくれるだけであって、後の運用は自力でやるしかないのですから、ブローカーが死んでも、特に影響はないと思います。乙の場合、HSBC 香港との関係でいえば、口座開設時は某ブローカーにお世話になりましたが、その後、その人とは連絡がとれません。しかし、だからといって何も不自由はありません。だって香港では英語が十分通じるのですから、自分で銀行と直接連絡を取ればそれでOKです。
 もしも、英語によるコミュニケーションができずに海外口座を開設しようと考えている人がいたら、それはそもそも無理だと誰でも思うでしょう。
 pp.52-55 では、通貨を分散しようという話が出てきます。円と米ドルとユーロくらいがいいという話です。しかし、乙は、前田氏の考え方に賛成できません。乙の考え方は、すでにブログに書きました。
2007.2.23 http://otsu.seesaa.net/article/34452967.html
 第2章「誰も教えてくれない! 国内外の金融機関の基礎知識」では、海外のプライベート・バンクがどういうものかを説明しています。それと比べて日本の国内口座(のプライベート・バンク機能)が不十分であることを述べています。
 p.60 では、海外口座で債券を中途売却した場合、非課税ではなく、総合課税されると書いてあります。ここは重大な記述です。乙は自分の保有する米国のゼロクーポン債を途中売却するに当たって(まだ数年先の話ですが)この点は税務署に確認してみますが、前田氏は何に基づいてこういう解釈をしたのか、知りたいところです。この本では根拠が一切書いてありません。
 そもそも、前田和彦(2006.8)『5年後にお金持ちになる資産運用』フォレスト出版 では、p.154 に、米国のゼロクーポン債を(満期日の前日で)中途売却することで為替益を含めて非課税になると書いてあります。たった1年で制度が変わったわけでもないのに、こういう記述があることが不可解です。
 p.71 では「コンシュルジェ」という言い方が出てきます。これはここ以降本書中で何回も繰り返し出てきます。乙は、この言い方にも引っかかりました。繰り返し出てくるということは、ミスプリではなく、本人の思いこみです。
 普通は「コンシェルジュ」といいます。検索エンジンで検索件数を確認してみると、以下の通りです。
表記YahooGoogle
コンシュルジェ
84
91
コンシュルジュ
9,310
16,600
コンシェルジュ
1,660,000
2,630,000
コンシェルジェ
210,000
411,000
コンシエルジュ
870
210
コンシエルジェ
210
391


 「コンシュルジェ」はごく少ない数しか使われていません。きわめて珍しい言い方(さらにいえば、間違った言い方)であると思います。
 フランス語の concierge の発音は[konsierз](зは後部歯茎有声摩擦音のつもり)ですから、「コンシエルジュ」が近いものと思われます。
 前田氏はスイスのプライベート・バンクに勤務していたとのことですが、スイスであればフランス語も使われていたはずですから、現地でフランス語に接していれば、こういう言い方はしないものでしょう。
 第3章「賢い人は使ってるプライベート・バンクの使い方」は、資産5億円以上の人が読むべきところですので、乙はスキップしました。
 第4章「日本の金融機関から投資するときの注意点」では、銀行口座よりも証券口座を活用しようということです。それはいいのですが、4章の初めのほうには、海外口座否定論が書いてあります。前田氏によると、プライベート・バンク口座であればいろいろメリットがあるのだけれど、海外の一般口座ではメリットがないとのことです。
 この点は、乙の認識とはずいぶんずれています。乙は銀行口座としては HSBC 香港しか海外口座を持っていませんが、いろいろとメリットがあるように思っています。(もちろんデメリットもありますが。)これについては、今までにもブログでいくつか書きましたが、さらに順次述べていきましょう。
 p.113 で書いてありますが、「一般口座の場合、自ら銀行の窓口に行って手続きをするのが基本です。香港ドルを米ドルに両替したいなら、窓口に行き、書類で申請するなどの決まった手順を踏んだうえで、手続きをしなければなりません。【中略】しかも、窓口には日本語が話せるスタッフは用意されていませんから、言葉の壁もあります。」というようなことでは、銀行口座としても使い物にならないでしょう。しかし、今どきこんな銀行があるのでしょうか。(あったら、みんなから利用されずに銀行が潰れるだけです。)今やインターネットで取引するのが当たり前になっていますから、両替なんて、数分もあればネットでできてしまいます。ネットの言葉は英語ですが、それはしかたがないでしょう。そんなにむずかしいものではありません。前田氏の知識は、いったいいつのものなんでしょうか。
 第5章「海外口座を最大限活用しよう!」はプライベート・バンク口座の活用法なので、乙には無関係でした。
 第6章「可能性は無限です! 退職後の新しい生き方を求めて!」は、海外生活のススメです。まあ、この本が対象としているような資産5億円以上の人なら、こういうことも考えておくべきでしょう。乙には不必要な記述です。(しかし、富裕層の考え方を知っておくのも悪くないと思っています。)
 本書は、あまりおすすめではありません。少なくとも、乙は、前田氏を頼って海外投資する気にはなれません。5億円以上の資産のある人は、もう少し自分で調べた上で、適当なブローカーを見つけるべきでしょう。そのほうが安心だと思います。


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posted by 乙 at 05:26| Comment(3) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
外国利付き債を購入し、売却した場合、譲渡益は非課税ですね(海外口座で購入したことは結論に影響を与えません)。ゼロクーポン債の売却益には課税されますので、結論に異同はないかもしれませんが。
Posted by PALCOM at 2007年08月15日 10:31
海外口座を通じてゼロクーポン債を購入した場合、譲渡益が無税になるかどうかは、拙ブログ2006年10月20日付け記事をご覧下さい。法律解釈が絡むので、結論は微妙です。
Posted by PALCOM at 2007年08月15日 10:35
PALCOM 様
 コメントありがとうございます。
http://palcomhk.blog79.fc2.com/blog-entry-12.html
を拝読いたしました。(2006.10.20 当時、読んでいたはずですが、……。)
 自分のブログに書いたように、
2007.1.25 http://otsu.seesaa.net/article/32064138.html
ゼロクーポン債の譲渡益が50万円を超えると税金がかかってくると考え、それを避けるように、譲渡益が50万円未満になるようにゼロクーポン債を購入したのでした。
 前田氏の話は、譲渡益50万円なんていうけちくさい話ではないと予想されますので、乙のコメントは不適切だったかもしれません。
Posted by at 2007年08月15日 15:43
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