その後、調べてみると、NIKKEI NET にも同趣旨の記事が載っています。
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070905AT2D1400Q05092007.html
「満期となる09年5月までに日本で「60年に1回」級の大規模台風が来なければ、投資家は元本と金利を受け取る。風速が一定水準を超えた場合、元本は減額または没収され共栄火災の保険金支払いに充てられる。」という仕組みです。
この記事で参照されていた共栄火災海上保険の台風ボンドについては、
http://www.hokenweb.co.jp/jouhou-so1kyo.htm
の07年7月20日のところにニュースが載っていました。
共栄火災海上保険のホームページ
http://www.kyoeikasai.co.jp/
からは、該当する記事をうまく見つけることができませんでした。
さて、これに投資するか否かと考えてみると、乙はどうにも否定的にならざるを得ません。
第1に、大規模台風か否かを誰がどう決めるのか、はっきりしない点です。
第2に、(債券の)利子や元本の返済率がどれくらいなのかが明示されないことです。
アメリカでは、すでに似たものが作られていますが、
http://www.sumitomocorp.co.jp/econo/9710/j-kaigai.html
それによると、被害総額で元本のもどる比率が変わってくるようです。
約12%の利子は如何なる場合も保証されている。もし総額が10億ドル以下なら、元本は100%戻る。過去の統計によるとこの発生確率は99%弱。次に、総額が10億ドルから15億ドルなら、程度によるが20%から80%の元本喪失が生じる。この発生確率は1%弱。最後に、総額15億ドル以上なら元本は100%喪失。この発生確率は0.4%。
このあたりをはっきり書かないと、記事としての意味がありません。(日経さんは、中途半端な書き方をしないで、もう少し明確に書かないとダメです。)
それらがはっきりしたところで、投資の価値があるかどうかを判断するようにしなければなりません。
上記のアメリカの債券の例では、発生確率を基に計算すると、元本の返済の期待値は(あくまで概算ですが)-8.5% 程度になります。したがって、12% の利子を考慮しても、リターンの期待値は 3.5% しかありません。リターンがたったこれだけでは、万が一元本ゼロになってしまうというリスクは取れないと思います。株だったら、8% くらいのリターンは期待できそうですし、普通の債券でも、(アメリカなら)5% くらいはいくでしょう。それに比べて、有利な点はあまりないというわけです。普通の債券や株と相関が低いといっても、やはりそれなりのリターンがないことには話になりません。
記事には詳しく書かれていなかったので、わかりませんが、個人投資家向けに販売されるのでしょうか。
http://www.hokenweb.co.jp/jouhou-so1kyo.htm
には、機関投資家向けと書いてあります。
たとえ個人が購入できるとしても、乙は投資しないと思います。
長期投資にはまったく向かない商品だと思います。
【関連する記事】
- 市民風車ファンド2006の償還
- MRI に対して証券取引等監視委員会が処分
- FXですごい実績をうたう全自動売買ソフト
- 再度、定期預金
- ドリームブッククラブから配当がありました
- ミュージックセキュリティーズに本人確認の書類を送る
- UWマカオ・プロジェクト投資事業匿名組合の償還
- 味彩せいじファンド 第1期決算
- 日本の REIT の問題点(2)
- 日本の REIT の問題点
- レジャーホテルファンドの問題
- 味彩せいじ@白金
- 勤め先の積立貯金
- レジャーホテルファンドのその後
- アゼルバイジャン定期預金口座開設情報サービス
- 某社のファンドの説明会
- 高金利の定期預金を探すと
- 新生銀行で定期預金をしようとすると
- 味彩せいじファンド
- マカオのカジノの現状