2007.9.14 http://otsu.seesaa.net/article/55102773.html
で見たように、新興国のアクティブ・ファンドは成績がいい場合が多いのですが、問題は、なぜ、このような結果になるかということです。
「さすがにプロだ」という説明で納得してしまってもいいのですが(それが一番幸せです)、そういう説明では、先進諸国のアクティブ・ファンドがインデックス・ファンドに勝てないことが説明できません。
乙は、新興国の場合には、市場に非効率な部分があるためだと考えていました。
2007.8.18 http://otsu.seesaa.net/article/51767669.html
しかし、最近、VMax さんのブログ
http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/etf_12bd.html
を読み、この説明が事態を見事に言い当てているように思いました。
VMax さんがいう「ベータ値が高い株に集中投資する」ことは、いわば、レバレッジを効かした投資を行っているようなものです。
新興国は、一般に成績がいいときが多いと思いますが、そういう場合、アクティブ・ファンドの成績がさらによくなるということです。しかし、下げ相場は、逆に大変です。
というわけで、こういうアクティブ・ファンドを持っている場合は、全体の成績が下がり始めたころに売るのが最適だということになります。もちろん、いつが最適か(本当に下がり始めたのかどうか)は非常に難しい問題で、それがきちんとわかれば誰も苦労はしないのですが、……。
ですから、アクティブ・ファンドを保有していくときは、定期的な運用状況の確認が欠かせません。
インデックス投資の考え方でいけば、それぞれの企業が活動し、利益を得ていくこと(その全体)が、すなわち投資家の利益の源泉と見るわけですが、これを敷衍すると、一般には(超長期で見れば)株価は上がっていくものだということになります。インデックス投資は、株価が超長期には上昇することを前提にして成り立つ考え方です。だとしたら、レバレッジを効かせることは、一般には有利になることが多く、逆風の吹くケースのほうが少ないと思われます。つまり、レバレッジ戦略は、通常のインデックス投資よりも有利なことになりそうだということになります。(もちろん、手数料が安ければの話ですが。)株式投資でいえば、信用買いをすればいいということです。このような超ハイリスクの投資は、長期にわたって行ってはいけません。いつかは大きくやられてしまうからです。しかし、比較的短期の場合は、「あり」ではないかと思うのです。今は、(そして過去数年も)新興国株が上昇した時期でした。その限りにおいて、アクティブ・ファンドも存在価値があったといえるように思います。
ラベル:新興国 アクティブ・ファンド
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非効率な部分があるからという説明では、アクティブファンド全体の好調さは説明できないと思っていましたので、Vmaxさんの説明は非常に納得のいくものでした。
でも・・・
市場参加者の大半をパッシブ(インデックス)運用のファンドとアクティブ運用のファンドが占めている
と考えると、アクティブファンドも全体で見れば(手数料を引く前の)運用成績は平均的と考えざるを得ないと思います。
もしもアクティブ運用のファンドが全体として好調なのであるとしたら、なにかアクティブ運用の好調さを埋め合わせる参加者(市場平均を下回る成績の参加者)が存在しなければならないわけですが、そんな参加者は存在するのでしょうか?
乙が考えるに、一般参加者でしょう。特に、投資技術も何も持たずに裸同然で参加している人が狙われているものと思います。
だから、普通の人にとっての個別株の売買は、なかなかインデックスを上回れないのだろうと思います。
プロでさえ、インデックスを打ち負かすことは非常に困難なわけで、そこに株の初心者が参戦しても勝てるはずがありません。