2007年09月28日

高齢投資家の保護徹底

 乙が日経新聞9月26日夕刊1面で読んだ記事です。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2C2200T%2026092007&g=E3&d=20070926
でも一部読めます。その一部を引用します。
 大手銀行は元本割れリスクのある投資信託などの金融商品を販売する際、高齢者の投資家保護を強化する。販売時には価格変動のリスク説明を詳細にするとともに、販売後は個別訪問などで運用状況の説明を徹底する。消費者保護を目指す金融商品取引法が30日に完全施行されるのに合わせ、自主規制で説明不足によるトラブルを防ぐのが狙いだ。ただ、80歳以上の高齢者に販売を自粛するなど過剰気味の反応もみられる。

 本紙の記事は、この NIKKEI NET の記事に加えて、さらにくわしく(具体的に)大手銀行各行の取り組みを書いています。たとえば、みずほ信託銀行では、90歳以上の顧客に対して、損失が出ていなくても3ヵ月に一度、個別訪問するのだそうです。
 さて、この記事を読んで、乙はいくつか疑問点を感じました。
 第1に、なぜ高齢投資家に対して一般投資家とは別の扱い方をするのかということです。80歳以上の人には投信の販売自粛などというのも変な話で、自分が長生きすると思っている人や、子供に財産を残そうとする人にとっては、高齢であってもリスクのあるものに投資することはある話であり、販売を自粛するなんて、おかしいと思います。
 インデックス投資の本の典型的な1冊ですが、チャールズ・エリス(2003.12)『敗者のゲーム(新版)』日本経済新聞社
2007.6.2 http://otsu.seesaa.net/article/43613290.html
を読むと、「10年以上運用する資産はすべて株式に投資するのが正しい」とあります。たとえ高齢者でも、家族や子孫のことを考えよということで、高齢になったから債券などの安定的な金融商品にシフトする必要はないと述べています。
 80歳以上の人に株式に投資する投資信託を販売しないとしたら、それは販売する側(大手銀行)の怠慢ではないでしょうか。
 さらにいうと、高齢者だけ特別扱いをするというのは、年齢による差別かもしれません。もっとも、若年層を差別しているのか、高齢層を差別しているのか、判断がむずかしいところですが。
 第2に、「販売後は個別訪問などで運用状況の説明を徹底する」なんて、まったく余計なことです。現在でも、各種投資信託では、決算ごとに運用報告書を送ってきますが、それをきちんと読めばたいていのことはわかります。それで十分です。大手銀行の行員による説明が運用報告書に書かれていないことだとしたら、その説明が正しいものかどうか大いに疑問ですし、そういう説明を聞かない投資家との不公平という問題が発生します。運用報告書に書かれていることを説明するならば、何も行員が自宅にわざわざ訪問してくる必要はありません。乙だったら、他人が自宅にくるだけでもうっとうしいし、まして、すでに書類に書いてあることをグダグダ説明されても時間のムダでしかありません。こんなのは拒否したいですね。(乙はまだ「高齢者」ではないですけれど。)
 あ、ただし、目が見えにくくなってきたら、こういう個別訪問による説明があってもいいですね。行員に運用報告書を全部読み上げてもらいましょう。1万円だけ購入した投信でこんなサービスがあったら大喜びです。
 第3に、このような「投資家保護」によって投資信託のコストが上がることが問題です。今だって投資信託の信託報酬は相当に高いと思いますが、銀行員の個別訪問があれば、その人件費の分は確実にコストとして跳ね返ってくるでしょう。ますます投資信託はコスト割れしてしまうし、それによって投信が売れなくなってしまい、若中年層の投資家としては踏んだり蹴ったりの状態になります。
 こんな「保護」を考えるよりは、運用報告書を(高齢者に配慮して)もう少し大きな文字で書くとか、細かい数字を並べる前に、運用状況全体としてどうだったのかをわかりやすく書く工夫をするべきです。その上で、投資家に「きちんと運用報告書を読んでくださいね」と伝えるべきです。それでも投資家が運用報告書を読まないならば、それは投資家の責任です。

 今回の記事を読むと、何だか違う方向に努力が傾けられているように思います。
 海外で投資すると、こんな人間が自宅に訪問してくるなんてことはありえませんから、とても気楽です。
 高いコストを払って、めんどうな応対をさせられる。これでは、ますます日本の大手銀行が見限られるのではないでしょうか。日本の投資環境はいっこうに改善されません。
 乙の心配は余計なことでしょうかね。

 水瀬ケンイチさんの意見も参考になります。
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-566.html
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-567.html


posted by 乙 at 05:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 国内投資信託 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は今回のような「投資家保護」は必ずしも反対しませんが、販売機関ではなく、独立したFPがチェックすべきだと思います。
海外ではそんなことがないと言われますが、FPに自分の財産や将来の計画を公開して、金融商品を選んでもらうというやり方もアメリカではそれなりに行われているかと。

要は「チェックを第3者が行わないからヘンになる」ということでは?
Posted by 通りすがり at 2007年09月29日 09:57
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