2007年10月07日

大証に上場予定の中国A株 ETF をどのようにとらえるか

 乙のブログに対するファン様からのコメント
http://otsu.seesaa.net/article/58933195.html
で、大阪証券取引所に上場予定の中国上海A株の ETF
http://www.ose.or.jp/stocks/sy/1309.pdf
をどう思うかという質問がありました。
 せっかくの機会なので、乙の意見をまとめて述べておこうと思います。(実は、この件は、わざわざブログでコメントするほどのことでもないので、無視しようかと思っていたのでした。)
 第1に、上海A株の ETF といえば、今まで中国株の口座を持っている人なら、普通に買うことができた iShares FTSE Xinhua A50 China Tracker(銘柄コード:2823)
2007.2.8 http://otsu.seesaa.net/article/33176294.html
(こちらは香港に上場する ETF です)と同じではないでしょうか。運用会社が違えば(また、上場する市場が違えば)、違った ETF だという見方もできますが、同じ指数に連動するなら、事実上、同じものに投資していることになるわけで、新鮮味がありません。要するに、中国株口座で(香港ドルで)買えたものが日本株口座で(日本円で)買えるようになるというだけのことです。今回の ETF の話は、新しく投資先が広がったということではありません。
 第2に、今回の大証への上場によって、ETF の売買手数料が安くなることが期待できます。中国株として売買すると、けっこう売買手数料がかかります。それが日本株と同じ手数料で売買できるようになりますから、手数料が安くなるわけです。このこと自体は投資家にとってありがたい話です。
 しかし、若干手数料が若干安くなったからといって、本当におトクかということになると、そうでもありません。ファン様がお考えのように、インデックス投資として購入したあと長期に保有を継続しようという考え方なら、売買手数料の差なんて、どうってことない程度の問題になります。
 頻繁に売買するときは、売買手数料の違いは大きいのですが、それはインデックス投資ではありません。タイミング(と株価の上昇/下落の方向)で勝負しようとする場合は、手数料が安いことが大事です。要は、個人投資家としてどういうスタンスで臨むかという問題です。乙はインデックス投資を中心として考えていますので、(一部アクティブな投資を楽しみますが、)今回の ETF の上場による売買手数料の低下のメリットはさほど大きいとは思えません。
 ただし、毎月の積立投資をする場合は売買手数料の多寡が効いてきますから、今回の話によって積立投資がやりやすくなったということはいえるでしょう。(乙は、積立もしていませんので、関係ありませんが。)
 第3に、上海A株に投資するかどうかという基本的問題です。
 乙の個人的見方では、
2007.2.8 http://otsu.seesaa.net/article/33176294.html
で述べたように、上海A株はバブル状態だと思います。
 なぜバブルかということについては、また別稿が必要になりますが、中国が輸出の急増で外貨を獲得していること、その結果、中国の外貨準備高が日本の外貨準備高を追い越してしまうほどになったこと、その結果、人民元が中国国内にあふれていること、人民元が国際化されていない(中国から外国に投資できない)ために、中国人の持つ人民元が中国内の不動産や株式(A株)などに大量に流れ込んでいることあたりが原因でしょう。(テレビ番組でよく見かけますが)上海の証券会社に集まる多数の中国人を見ると、まさにバブルだと感じます。
 したがって、今後、上海A株では大きな下落があるものと予想しています。行き着くところまでいったら起こるでしょう。これがいつ起こるかはわかりません。
 また、もう一つ、中国株のAH格差の解消という問題があります。
2007.4.14 http://otsu.seesaa.net/article/38671971.html
これも、まもなく「直通車」によって、中国本土の投資家が香港市場に投資可能になるものと思われます。
2007.9.4 http://otsu.seesaa.net/article/53855485.html
この点からも、(中国人以外は)割安な香港H株に投資するほうがずっと安全だと思います。
 もっとも、逆説的になりますが、バブルは一番儲かるものというとらえ方も可能です。ですから、あえて上海A株に投資しようという考え方も理解できます。これからも(どれくらいの期間かわかりませんが)上海A株は上昇を続けると思います。しかし、きっと大きな下落があるでしょう。その場合は、飛び降りる(株を売る)タイミングが最も大事です。乙は、自分の日々の仕事を抱えていて、毎日、株式市場の動きを追いかけているわけにはいきませんから、都合よく飛び降りることができません。したがって、上海A株には手を出さないことにしました。
 第4に、上海A株をインデックス投資の対象にしていいかという問題です。インデックス投資は、日本株やアメリカ株などの先進国株でこそ行うべきもので、中国株でインデックス投資の考え方が成り立つのかどうか、疑問に思っています。中国では資本主義が貫徹されているわけでもなく、いざとなれば、中国政府の方針の大変更があるかもしれません。言い換えれば、中国はカントリー・リスクが大きいということです。そんな国で、インデックス投資ができるものでしょうか。インデックス投資は20年とかの長期間にわたって制度が変わらないことを前提にして成り立っているものです。中国の諸制度がそんなに長く変わらないとは思えません。
 日本のバブルがはじけたあと、日本株に投資していた人はみんな損失を出したに違いありません。でも、じっと待っていれば、これから日経平均が4万円を越えることはあるだろうと思います。(それまでに超長期間がかかるとは思いますが。)株価は、基本的には上昇するものです。あと20年〜50年くらい経てばそうなるのではないでしょうか。この点から、バブルのピーク時に買った株でも、長期間持っていれば、損失は発生しないという考え方ができるように思います。
 では、上海A株も同じでしょうか。そうではないような気がします。株価が下がったら下がりっぱなしということがありそうです。日本のバブルもすごかったけれど、中国のバブルはそれ以上だと思います。中国政府がバブル退治に本気で乗り出せば、バブルの押さえ込みは可能でしょう。(今は中国政府としてそういうことはしないという方針です。)バブル退治による株価の大暴落があれば、次の最高値更新は数十年以上にわたってないかもしれません。中国バブルの回復は、日本のバブルの回復よりもずっと長い時間がかかるのではないかと思います。(そのうち、中国の経済成長が「少子化=一人っ子政策」の影響で今まで通りではなくなるかもしれません。)そんなことで、乙は上海A株でインデックス投資をしようという考え方には賛成できません。
 以上、述べてきたようなことから、乙は、今回の上海株の大証への ETF 上場を冷ややかな目で見ています。自分で買う予定がないものについて、あれこれ考えるのは、それ自体がムダなように思います。
 上述のように、上海A株に投資しようという考え方も理解できますので、投資したい人は自分の責任で投資すればいいでしょう。大きく儲かる可能性もあります。大損する可能性もあります。吉と出るか凶と出るか、それは何ともわかりません。
 ブログでは、この ETF に関してたくさんの人が意見を述べています。
http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/2007/10/post_a5f9.html
http://fund.jugem.jp/?eid=461
http://mo-maga.sblo.jp/article/5727369.html
http://randomwalker.blog19.fc2.com/blog-entry-574.html
http://ameblo.jp/happy-retire/entry-10049854941.html
http://victoriousystemtrade.blog58.fc2.com/blog-entry-272.html
http://layup.blog88.fc2.com/blog-entry-147.html
http://kaeru.orio.jp/blog/2007/10/_etf_2.html
http://renny.jugem.jp/?eid=372
http://haisyatosyosyanogame.10.dtiblog.com/blog-entry-379.html
http://tohshi.blog61.fc2.com/
http://fund-senki.way-nifty.com/blog/2007/10/etf_4231.html
http://401k.sblo.jp/article/5731298.html
http://max999.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/etf_a655.html
http://fundstory.blog87.fc2.com/blog-entry-159.html


ラベル:中国A株 大証 ETF
posted by 乙 at 06:22| Comment(1) | TrackBack(0) | ETF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
乙川様へ

この度は私が投げ掛けた愚問に大変丁寧にお応えしていただきどうもありがとうございました。関心のない話題について、かみ口説くように説明するのは好きなことについて語る時の数倍骨が折れるものです。安易にこのような質問をしてしまった自らの愚かさを深く反省するとともに、こうして長い時間を掛けて非常に丁寧に説明して下さったことに心から感謝しております。
2007.2.8にお書きになったブログも拝見しておりましたが、お出しになったその結論をすっかり忘れていたのが愚問につながったようです、どうかお許し下さい。

私の場合、投資おける経験がまだあまり長くなく、iShares FTSE Xinhua A50 China Trackerのことは知っていたものの、海外のETFを購入した経験がありません。ですので、今回その中身と同様のETFの国内での上場を、海外のそれより身近なものに感じたことが、ここへ書き込んだきっかけのひとつでもあります。ですので、乙川様が第1 にお書きになった内容は全くその通りですし、手数料に関しても、もしもこれをインデックス投資として考えた場合には、まったく同感致します。

きっと、まとまりのない長い文章を書いた自分の書き方に問題があったのかもしれません…、乙川様にどうやら誤解を与えてしまったようです。確かに私の投資スタイルはインデックス投資が中心ですし、それなりにアセットアロケーションのバランスも考えております。ただしそうしたポートフォリオとは別に、もし自分の技量と状況判断にある程度の確信があればの話ですが、許容出来る資金で特定のある期間だけでも多少はアクティブな投資も意味があるのではないかと考え始めるようになりました。ただ今回上場されるこのETFだけは、通常の指数連動ETFつまりインデックス投資とはまったく考えておりません。騰落レシオのチャートがまったく意味を持たない市場です、他の多くの方々のように私もそれを最初から長期投資の対象とは考えておりません。

そもそも、買うかどうかは別として今回わたしがこのETFに関心を持ったのも、香港H株市場には、中国の本土企業でA株市場にも上場している銘柄が、重複して上場されていることを多少とも知っていたからです。その意味でA/Hのその相関関係にとても興味がありました。私の疑問もそこから出たものです。

http://blog.mag2.com/m/log/0000141697/108898851.html

田中徹郎氏が、ここで述べられているように、現在私の所有するファンドの中のH株も鋭く上昇を続けていますが、これも時間の問題なのではないかと…。もし平均PER50倍以上のA株市場が破綻すれば、その時は香港H株も即座に暴落することはほぼ間違いないはずですし、世界のあらゆる株式ファンドを未曾有の震撼に陥れることもまた確実です。確かに現在のH株は騰落レシオの120のラインぎりぎりで持ちこたえてはいますが、それもすべてA株次第のはずです。それを極端に拡大解釈して推測するに、それは同じく上昇中のBRIC's系ファンドにとどまらず、その時は世界の株式のほとんどは、A株の動向により何らかの打撃を被ることになるわけです。H株はその最も至近距離にあるというだけのことにもなるでしょう。「それなら…いっそ短期勝負でも」と、この点でも田中氏とまったく同様のことを感じておりました。乙川様へ愚かな質問をぶつけてしまったのも、そうした心情がさせたものだとお考え下さい(笑)。

沈没確実のボートに乗り込みそれ迄つかの間のパーティーを楽しむか否かは別として、世界のどの部分へ投資していようが、我々がこの隣国の情勢に確実に巻き込まれるのなら、やはり出来る限りの注視が必要と感じます。日々注視が必要なら…いっそのこと、確かにそれでは少し思慮が足りないかもしれませんが。

ただ、インデックス派の考えでは、そうした如何なる市場の波乱も収差もすべて時間軸の中に修練されて行くわけで、そうした意味から私も常々、世界分散投資を心掛けています。大切なのは
長い時間軸の上でのそうした市場拡大の摂理も、この中国の場合は乙川様がおっしゃるように当てはまらない可能性もあるでしょうね。そうした意味からも私もこのA株をインデックスの対象とは考えておりません。では、H株ならどうなのか、程度の差こそあれこれもS&P500のように長期投資の対象として考えるには現時点では難しいと感じています。まさに「痛し痒しの香港市場」そのものです。

今回、ブログの末尾にこれだけ多くのURLを付記して下さったことにより、紹介して下さったブログを読むうちに、今回の野村のETFがじつはETNであったことを初めて知ることも出来ました。
まだ訪れたことのない素晴らしいブログを紹介して下さったことにとても感謝しております。
乙川様、今回は真摯なお答え本当にどうもありがとうございました。

Posted by ファン at 2007年10月07日 20:36
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