週刊ダイヤモンドは、ときおり投資関連の特集をすることがあります。
週刊ダイヤモンド 2007.9.29 特集「ファンド恐慌」
2007.9.30 http://otsu.seesaa.net/article/57977096.html
週刊ダイヤモンド 2007.6.16 特集「金融商品の罠」
2007.6.17 http://otsu.seesaa.net/article/45088112.html
週刊ダイヤモンド 2007.3.17 特集「チャンスとリスクを総点検! 新興国投資」
2007.3.15 http://otsu.seesaa.net/article/35968707.html
週刊ダイヤモンド 2006.12.2 特集:「投信」の罠
2006.11.29 http://otsu.seesaa.net/article/28499518.html
というわけで、目が離せない雑誌の一つです。
今回の特集も、pp.32-65, pp.94-115 で、全56ページということになりますが、誌面がA4の大きさですから、A5の単行本に換算すると、130 ページくらいに相当するのではないでしょうか。
内容は、けっこう読みがいがあります。
このまま投資入門書として見てもいいのではないでしょうか。始めと終わりに要旨がまとめてあり、全体が大変読みやすくなっています。
pp.36-37 で、始まってすぐに「金融商品○×徹底評価! 全23商品分類を13の軸で採点」という一覧表があります。国内株式もの、海外株式もの、国内債券・預金もの、海外債券・預金もの、それに REIT と変額個人年金保険が一覧されており、便利です。ある意味で、今回の特集の結論ともいえるところです。
乙が不満に思ったのは、この一覧表の海外債券・預金もののなかに ETF の記載がなかったことです。今はまだマイナーかもしれませんが、乙は有力視しています。(近日中に、これについては改めてこのブログで書く予定です。)
編集部がこれを知らなかったわけではありません。pp.57 には海外の ETF を列挙した上で「そのほかには債券指数に連動するもの【中略】もあり、」と述べていますし、p.58 には「米国債券」のジャンルの ETF がリストアップされています。(ただし、海外株式を説明するページなのですが。)というわけで、メジャーな投資法ではないからなのか、ETF 経由の債券投資が無視された形になっています。
p.38 の最下段は、誤解を招きそうな言い方になっています。ちょっと引用しましょう。
この期待リターンとリスクとの関係をマッピングした左ページの図を見ていただきたい。相対的に高い資産分類は、順に株式、不動産、債券、預金となる。
それぞれの資産分類のなかでアクティブ投信の評価が低いのは、個人投資家にとっての期待リターンはコストを差し引いて考えなければならないからだ。
二つの段落を引用しました。第2段落の「それぞれの資産分類」は、当然、第1段落の「株式、不動産、債券、預金」のことを指すと読めるでしょ? それが違うのです。なぜならば「左ページの図」にはアクティブ投信がどこにも現れないからです。第2段落は、pp.36-37 の表のことを指しているのです。乙はここを読んだとき、「?」でした。
もう一つ、「?」と思ったところを示しましょう。p.54 の終わりの部分です。
インデックス投信では飽き足らない場合であっても、一般にはアクティブ投信のほうが無難だろう。
最初乙が読んだとき、意味が分かりませんでした。何だかインデックス投信よりもアクティブ投信をすすめているように聞こえます。
たぶん、「一般には」のあとに「個別株投資より」を補って読むべきなのでしょう。
乙がおもしろいと思ったのは p.55 の新興国株投資の記事です。新興国では乱高下がある(リスクが高い)こと、10年経っても低迷が続くような場合があることを、実例を示して説明しています。確かにそうなのですが、だからこそ(リスクが高いからこそ)リターンが大きいともいえるのではないでしょうか。あまりこれを強調しすぎるとギャンブルになってしまうのですが。
この雑誌、ちょっとした問題はあるものの、全体として真面目で正確な書き方であり、好感が持てます。こういうのを読んでから投資の世界に足を踏み入れるといいでしょうね。
あちこちのブログでも、この雑誌が取り上げられています。
http://ameblo.jp/happy-retire/entry-10051347593.html
http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/2007/10/20071020_fd5f.html
http://nightwalker.cocolog-nifty.com/money/2007/10/post_28a1.html
http://shinkansen-19641001.cocolog-nifty.com/kodama/2007/10/20071020_a5ef.html
http://blog.livedoor.jp/akipop/archives/51128659.html
http://fund.jugem.jp/?eid=472
http://haisyatosyosyanogame.10.dtiblog.com/blog-entry-410.html
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