2007年10月30日

個人間金融取引所・ゾーパ

 乙は、日経新聞 2007.10.28 朝刊 p.17 で見かけました。
 イギリスの話ですが、個人間金融取引所というのがあるそうです。ゾーパというのだそうです。貸し手と借り手をインターネットでつないだ新しい金融形態とのことです。
 これはおもしろいと思いました。
 仲介業者が手数料を貸し手と借り手の両方から 0.5% ずつ徴収するだけというのは、コストが安くてとても便利そうに響きます。借り手から見ると、大手銀行より3割程度安い金利になるということですから、これまた受けそうです。(3割安いというのは、9% の金利が 6.3% になるという意味でしょう。)
 貸し手も借り手も信用情報会社が与信審査をするということですから、比較的安心できそうです。貸し手のほうの信用は、あまり心配する必要はなさそうです。借金は、借りてしまえば、借り手のほうが強いからです。とはいえ、借り手から見れば、申し込んでも貸してもらえないことになったら困るわけですから、こういう審査があってもやむを得ないでしょう。
 創業2年でゾーパの利用者は18万人に増えたそうですが、さもありなんです。
 さっそくネットで調べてみると、すでにいろいろな記事があります。大まかな日付順に見ていきましょう。
[1] 2005.4.4 http://wiredvision.jp/archives/200504/2005040403.html
2005.4.6 http://zakki.paslog.jp/article/16392.html
 これらの記事によると、「貸し手は1人につき最低50人に融資を行ない、借り手1人に融資できる額は最高200ポンド(約4万円)までに制限されている。」「貸し手も法人ではなく個人でなければならず、いかなる時点においても貸し付け残高が2万5000ポンド(約500万円)を超えてはならない。」とあります。まさに分散投資と同じ考え方です。
[2] 2005.4.5 http://www.grope.info/index.php/index.php?no=r791
 こちらでは、どっちつかずの迷いが表明されています。
[3] 2005.6.17 http://oshimago.chu.jp/personal/archives/000367.html
 ここでは、日本国内でも大きな期待をしたいと言っています。
[4] 2006.5.8 http://blog.mag2.com/m/log/0000164032/?YEAR=2006&MONTH=5&DAY=8
 この記事によると、貸し手も借り手もイギリスに住んでいて、イギリスの銀行に口座を持っている人が対象とのことなので、日本に住む人間が投資するわけにはいきません。
[5] 2006.5.10 http://blog.livedoor.jp/lala33/archives/50602866.html
 この記事では、「昔あった無尽(頼母子講)の現代版」と位置づけています。
[6] 2006.9.27 http://www.sodan.info/colum/?sec=detail&did=14504
 ここでは、日経新聞 2006.9.27 夕刊のゾーパに関する記事が読めます。
[7] 2006.10.8 http://ameblo.jp/nippau/entry-10017965554.html
 この記事では、デフォルト(債務の不履行)が起きたときのことが詳しいです。
[8] 2006.10.17 http://www.osa-kigyou.com/topic114.html
 この記事では、起業資金の作り方の一例として考えています。
[9] 2007.1.8 http://bracingjapan.livedoor.biz/archives/50492077.html
 ここでも、ビジネス開始のタネ銭としての利用を考えています。[8] と同じ考え方です。
[10] 2007.1 http://www.jnews.com/special/reports/200701/200701.html
 この記事では、ゾーパの借り手は返済保護保険に入ることができるとあります。何と、保険付きも可能なんですね。
[11] 2007.2.28 http://ameblo.jp/sem-info/entry-10026611173.html
 こちらでは、「国の柔軟な対応の、また新しいサービスが根付くスピードが遅いという風土が日本にはあるように感じる。」ということで、日本の「遅さ」を嘆いています。

 また、これをテーマにしたメルマガまで出ているのでした。
[12] http://www.mag2.com/m/0000238187.html
[13] http://merumaga.yahoo.co.jp/Detail/6246/
 こちらは、ウィキバンクのメルマガですが、ゾーパについても触れられています。

 ゾーパについては、次のところでも記事があります。
[14] 2006.5.10 http://plaza.rakuten.co.jp/www9945/diary/200605090000/
[15] 2006.9.28 http://blog.goo.ne.jp/038sinagawa/e/8e9f720783061353ca2a72d51e3f7328
[16] 2007.2.5 http://plaza.rakuten.co.jp/rironbusou/diary/200702040000/
[17] 2007.3.8 http://community.eoy.ne.jp/blog/index.php?module=Blog&action=ShowBlog&uname=03fmsato&eid=6210d90ad2bf1218bc56627e724f6ebd&mode=permanent
 本家のHPは以下のところです。
[18] http://www.zopa.com/

 WWW で記事を見ていったら、ゾーパとともに、アメリカの prosper について触れられている記事も多かったです。両方とも個人間金融という点では共通しています。
[19] 2006.3.3 http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20060303_prosper/
[20] 2007.4.24 http://d.hatena.ne.jp/kazundo/20070424
[21] 2007.6.12 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070521/271705/
[22] 2007.8.6 http://hiroyoshi.wordpress.com/2007/08/06/
[23] 2007.10.5 http://japan.internet.com/busnews/20071005/8.html

 ところで、日本でもこういう仕組みがあるのでしょうか。
 ウィキバンク
http://wikibank.jp/
http://wiki.bank.jp/
http://www.bank.jp/
がどうもそれに近いように思えます。2007年4月1日業務開始だそうです。
 それにしても、類似の URL が2個あるのはいかがなものでしょうか。両者は同一管理人が提供しているもののようですが、何となくいかがわしさを感じさせます(失礼な言い方で恐縮です)。
 こういう仕組みができて普及すれば、銀行の金利よりもさらに高い金利をとるサラ金は大きな影響を受けるでしょう。一般人が(信用レベルにもよりますが)銀行融資よりもさらに安い金利で資金が借りられるとなったら、サラ金に行く人はよほど信用のない人だけになってしまうでしょう。いよいよサラ金は貸し倒れリスクが高まり、倒産する業者が多数出てくることになりそうです。
 それどころか、銀行自体が危ないかもしれません。預金者から金を集めて企業などに貸し出すというモデルは、間接金融ですが、すでに機能しなくなってきており、直接金融が大きくなってきています。銀行は、したがって、経営が苦しくなってきています。
 個人間金融取引所は、まさに直接金融なんですね。投資家としても、自分の金が目に見えるところに有効に使ってもらえて、しかも後日金利が付いて返されるなら、こんなうれしいことはありません。
 インターネットの普及が、社会に影響を及ぼすというのは、たとえば、こういうことを指すのでしょうね。
 消費生活の面では、インターネットが生産者と消費者をつないで、問屋などの仲介業者を通さない、いわゆる「中抜き」を促進しているわけですが、金融面でも中抜きが起こりうるということです。
2009.3.26 追記
 この話の続きを
http://otsu.seesaa.net/article/116226401.html
に書きました。
 よろしければご参照ください。

posted by 乙 at 04:57| Comment(0) | TrackBack(0) | その他の投資 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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