「手続きにこんなに時間がかかるとは。もっと気軽に寄付できる仕組みがあれば」。一代で上場企業を築いた北陸地方の井戸晴雄(仮名、65)はため息をつく。個人資産で奨学金などを賄う基金を設立する決意をした。文部科学省、財務省、厚生労働省……。税制上の優遇措置を得る認可や調整に一年以上かかった。
五億円で設立した基金も、運用の規制が厳しいうえ低金利が続く。自己資金二千五百万円を毎年補充することにした。次世代に貢献する残し方をしたいが、「高齢者がお金を生かしにくい世の中だ」と痛感する。
乙が関係している某奨学財団でも全く同じ経験をしました。
理事長が私財の5億円を拠出して基金を作り、それを運用して得られるお金を基に奨学金を苦学生に渡すというのがその財団の趣旨です。似たような財団は他にもいろいろあると聞いています。
しかし、今の日本の低金利は、このやり方を継続できなくさせています。定期預金などで 1% で運用した場合、基金5億円があっても、運用益はたった 500 万円にしかならず、これでは財団の活動資金になりません。2000 万円ほどあれば、財団の活動が可能なのですが、現在のところ 4% の運用はかなりむずかしいものです。そこで、理事長は毎年多額の自己資金を財団に「寄付」として補充していました。
文部科学省などの規制は、それはそれはきびしいもので、円建ての元本を毀損することがあってはならないのだそうです。ですから、株式などのリスクのあるもので運用してはいけないことになります。外貨建てならば、5% くらいの運用ができますが、それも円建ての元本保証ではないために、実行できません。
そんなとき、某信託銀行や某証券会社から仕組み債の話が持ち込まれました。財団では、一時、そういうので資産運用を考えようということになり、乙もちょっと勉強してみることにしました。
(以下、長くなるので、明日書きます。)
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