http://otsu.seesaa.net/article/87133805.html
に「しょんころすけ」さんからコメントがありました。
「AllAbout北川邦弘の資産運用のノウハウ」 の2007年11月12日の記事 「インデックスファンドは負けないというウソ」の中で、インデックスファンドが市場の指数に対し5年間でMSCI世界株の場合17%も負けているという記事を見てびっくりしてしまいました。また同じく2005年9月13日の記事「TOPIX連動型ETF配当の怪」ではETFでは配当が大口投資家に搾取されていると書いてあり(かなり前の記事なので今は こういうことはないのかもしれませんが・・)インデックス型のETFへの考えが揺らいでしまいました。
「しょんころすけ」さんからは
2007.12.14 http://otsu.seesaa.net/article/72737982.html
にもコメントをいただいたことがあります。いつもお読みいただきありがとうございます。
「AllAbout北川邦弘の資産運用のノウハウ」の2007年11月12日の記事「インデックスファンドは負けないというウソ」というのは、次のところにあります。
http://allabout.co.jp/finance/assetmanagement/closeup/CU20071112K/
また、「2005年9月13日の記事「TOPIX連動型ETF配当の怪」」というのは、
http://allabout.co.jp/finance/assetmanagement/closeup/CU20050831A/
のことです。
後者については、乙も驚き、ブログに書いたことがあります。
2006.11.19 http://otsu.seesaa.net/article/27800068.html
つまり、この話は本当だと思います。
前者についても、これは一部は正しいと思います。つまり、インデックスファンドはインデックスに勝てないということです。考えてみればこれは当然で、インデックスファンドはインデックスを上回るリターンは望めません。むしろ、コストの分だけ確実に負けるのです。
また、「TOPIX連動型ETF配当の怪」にあるように、目に見える運用コスト以外にも隠れたコストがありえます。それがどれくらいあるかは、きちんと計算してみなければなりません。
では、MSCI 世界株の5年間でインデックスに比べて -17% というのはどう考えればいいでしょうか。
ここは、北川氏の数字の扱い方に(意図的な?)間違いがあります。
北川氏は、5年収益率で見たときに、インデックスファンドの平均が 115.43% で、インデックスが 132.87% であるときに、それを引き算して、-17.44% (つまりインデックスファンドのほうが大きく負けている)としています。これは変です。正しくは、次のような計算になります。
5年収益率が北川氏の表の通りならば、インデックスファンドは、100 の資産が 215.43 に増えたのに対し、インデックスは、100 の資産が 232.87 に増えたのです。両者の比率を計算すると、
215.43/232.87=0.925
となります。インデックスファンドは 7.5% ほど成績が悪いに過ぎません。
さらに、これを1年あたりに直すと、ざっと 1.5% 程度のマイナスですが、これは信託報酬(0.735%〜1.30725%)よりちょっと大きいだけです。つまり、信託報酬よりも少しだけ大きなコストがかかっているということになります。
欧州株式も、正しくは、こういう計算をするべきで、北川氏のいうように -38% ではなく、
248.57/286.67=0.867
で、13% ほどのマイナスに過ぎません。5年収益率ですから1年あたりでは -2.8% ほどになります。
0.972×0.972×0.972×0.972×0.972=0.868
インデックスよりもかなりずれていますが、これは一つのファンドだけを取り上げたことによる偶然が働いていたり、そのファンドの特有の事情(運用の失敗)があったりする可能性があると見るべきでしょう。
以上のように、北川氏の議論は、インデックスファンドのマイナス面を誇張しています。数字を正しく認識すれば、さほど驚くようなことではありません。
インデックスファンドを購入する場合は、やはり、信託報酬の安いインデックスファンドを利用するしかないと思います。ETF ならば、インデックスファンド一般よりはコストが低いものが多いと思います。バンガードのインデックスファンドは、信託報酬(Expense Ratio) 0.2% などというのもあります。こういうのを利用するわけです。それでも、どうやってもインデックスには勝てないと思いますが、インデックスになるべく近い(大きくは外れない)運用ができると思います。
インデックス投資の考え方では、インデックス投資に勝とうとするのではなく、インデックスから大きく負けないようにすることをねらいます。
この件については、Mc.N さんのブログも参考になるかもしれません。
http://mcn.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_5075.html
ラベル:インデックスファンド 信託報酬
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乙さんのように自分の頭で考え検証できるように勉強していきたいと思います。
とはいえ、インデックスファンドは思っていた以上に指標に負けるのですね。20年保有していたらかなり差が出るのですね。
最近、どう投資したら「複利」効果が利用できるかと悩んでいます。TOPIXという指標は複利とは無関係ですよね。世の中の様々な指標(債券やREITなど)に連動するETFやファンドを買ったとして、それは価格を追っているだけで、複利(配当など)を利用している事にはならないのでは・・・などと考えています。
無分配方式のファンド(少ない)の方が長期的にはいいのか、両方に投資しておけば良いのかなどと考えつつなかなか考えがまとまらずにいます。
長文すみません。
このたびは本当にありがとうございました。
インデックスファンドがそんなに指標に負けるといえるのでしょうか。
乙の感覚では、北川氏のいうように5年間で約2倍になるならば、そのうちの 7.5% くらいは喜んでプレゼントしたい気持です。
長期的には、毎年 7% くらいの利回りが期待できると思いますが、だとすれば、その中の 1.5% は受け取る利益の2割程度ということになります。
ETF などで、コストが 0.2% ならば、受け取る利益の 3% 程度ということになりますので、まあ許容の範囲ではないでしょうか。
配当金が出るときに、それをうまく複利で運用することはむずかしいですね。投資は、毎月の収入の一部を回すという考え方であれば、配当金は、それと混ぜて投資に当てるということで問題はないように思います。