目次は以下の通りです。
Chapter 1 なぜ海外に資産を移すべきなのか
Chapter 2 オフショアの基礎知識
Chapter 3 オフショアファンドの買い方
Chapter 4 オフショアファドの選び方
Chapter 5 海外預金口座の開き方・活用のしかた
この種の本としては、スタンダードな内容という感じでしょう。
乙は、本書を一読して、いくつか変なところが気になってしまいました。
p.107 ファンド会社への英語による問い合わせメールの例が出てきます。たとえば、
C What are the papers do I have to send?
(送らなければならない書類は何ですか?)
などという例が載っていますが、これは自然な英語でしょうか。do の使い方が変なように思います。
p.127 「監修者・松本弘樹氏」という例が出てきます。p.164 も同じです。2回あるということは、間違い(ミスプリ)ではないということです。この言い方をする(「氏」を付ける)ということは、本書の著者は別にいるわけで、松本氏は「監修」したに過ぎません。では、真の著者は誰なのでしょうか。本書中にはどこにも出てきません。この点だけで、著者不明の信頼性に欠ける本だと思います。
pp.166-167 何ヵ所も「債券」のことを「債権」と書いています。何回も出てくるということは、ミスプリとは思えません。この二つの語を取り違えるような著者の書いたものは、信頼に欠けると思います。
本書は、海外に口座を開き、オフショアファンドに投資しようとする人には有意義な面もあると思います。
p.102 には、海外に本拠を置き、日本語対応が可能で、オフショアファンドを扱っている業者が四つ出てきます。こういうあたりは、なかなか書かれていないことが多いので、「ふ〜ん」と思いました。ただし、勘ぐれば、本書の隠れた著者がこの4社の関係者ではないかと思われます。
また、pp.168-172 に松本弘樹の厳選ヘッジファンド20というリストも付いています。これも参考になるかと思います。
さて、こういう海外ファンドバンザイという趣旨の本では、たいてい、決定的なことが書かれていません。それは為替リスクの問題です。これについては、乙は、森智紀(2007.10)『海外ファンド投資プラン』すばる舎
2008.3.21 http://otsu.seesaa.net/article/90301401.html
の記事でも、述べました。オフショアファンドで、確かに高利回りのファンドがあると思います。しかし、一般に、この種のファンドは外貨建てです。外貨建てであるからこそ高利回りが実現できるというべきかもしれません。単に、表面上の高利回りを見てオフショアファンドを購入すると、痛い目にあうかもしれません。
もっとも、乙も、資金の一部をこういうファンドに充てていますので、「痛い目」を覚悟しているわけなのですが。
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参考にさせて頂きますね。
また、お伺いしま〜す。