乙は、騰落率を計算しないようにしています。
2008.2.14 http://otsu.seesaa.net/article/83933945.html
なぜ計算しないかというと、一番の理由は、その計算法がわからないことです。
皆さんは、きちんと計算しているのでしょうか。
たとえば、日経マネーの個人投資家アンケート
2008.3.2 http://otsu.seesaa.net/article/87896547.html
などで、ある特定の期間の運用実績を聞かれたりするわけですが、きちんと答えられるものでしょうか。
ある年の1月1日に1万円を投資したとします。12月31日の時価を求めれば、
(12月31日の時価)÷(1月1日の投資額)
という計算で1年間の騰落率を求めることができます。
では、日経マネーの個人投資家アンケートのように、「07年2月1日〜08年1月31日の運用実績は?」と尋ねられたらどうするのでしょうか。このようなアンケートに正確に答えるためには、毎月1回、1日か末日に時価を求めておかなければなりません。これを1年12回継続していないと、任意の時点で過去1年間の騰落率を答えることができません。
さて、騰落率を求めるときは、もう一つ別の問題があります。1年の途中で金融商品の売買を行った場合の計算法です。
1月1日に1万円を何かに投資し、7月1日にさらに1万円を投資し、12月31日を迎えたら、時価3万円になっていたとします。この場合、騰落率はどう計算するのでしょうか。
1月1日に投資した1万円の他に現金1万円を持っていたと考えるのでしょうか。すると、2万円が3万円になったわけですから、5割増ということになります。しかし、サラリーマンのように毎月の収入を投資に向けている場合は、1月1日には1万円しか投資に回せなかったのであって、1万円の現金が別途あったわけではありません。
そうすると、2万円を二つに分けて考えることになります。
1月1日の1万円が7月1日に1.5万円になっていたとしましょう。すると、1万円は半年で5割増になります。1.5万円がさらに2割増で1.8万円になります。途中で追加した1万円が2割増で1.2万円になります。合わせて3万円です。このとき、騰落率はどう計算するのでしょうか。1.5×1.2=1.8 で8割増とするのでしょうか。この考え方は、騰落率は投資金額によらないということが前提になっています。投資信託などは、たぶん、この考え方で騰落率を計算していると思います。
しかし、前半は1万円だけ運用し、後半は2.5万円を運用しているわけで、前半は投資実績としては軽く扱い、後半は金額が大きい分だけ重みをかけて実績を計算するべきではないでしょうか。
仮に、年度当初に2万円持っていたとしましょう。前半に2万円投資して、3万円に増やし、1万円を現金化して、後半は2万円を2.4万円に増やしたら、年度末には合計で3.4万円になります。一方、前半に1万円投資して1.5万円に増やし、そこで1万円を追加投資すると、年度末には3万円になります。二つのケースを比べると、前者のほうが優れています。したがって、投資金額を考慮して騰落率を計算するときは、単に半年間の実績をかけ算する(1.5×1.2=1.8)だけではダメで、それぞれの時期で投資した金額の多少を考慮するべきだということになります。
1月1日の1万円が年末に1.8万円になり、7月1日の1万円が年末に1.2万円になったとすると、後者は半年の投資ですが1年に引き延ばして考えるのでしょうか。すると、投資期間が1年ありますから、1.2×1.2=1.44 倍になったことになります。こう考えると、1月1日からの1万円の 80% 増と、7月1日からの1万円の 44% 増で、(同じ金額なので足して2で割って)騰落率は 62% 増ということになるのでしょうか。
こんなことを考えていくと、投資金額が一定で、途中で増えたり減ったりしない場合は、騰落率の計算が簡単だけれども、追加投資していく場合(さらには資金を取り崩していく場合)は、けっこう面倒な計算になりそうです。実際は、日数で日割り計算しなければならないでしょうし、短期間の投資を1年分に換算するのもちとめんどうです。その上、投資金額は時価評価した上で重みを考えなければなりません。
そんなことを考えると、2月1日現在で過去1年間の騰落率は? などと尋ねられても、簡単に算出できるものではないように思います。
投資信託の場合は、口数で計算する(追加投資金額をその時点の基準価額で割る)という手があります。追加資金があった場合、それを口数に換算して以前からのものに加えてしまうということです。でも、これは、上で考えたようなことをあてはめると、資金額が一定のままと仮定して計算していることと同じことになり、本当にこれでいいのか、疑問に思いました。(まあ、それに代わる計算法があるわけではないのですけれども。)
個人の資産運用では、投資信託みたいに口数に変換して計算している人もいないでしょうね。
正しい騰落率の計算法をご存じの方がいらしたら、コメント欄でお教えください。
2008年05月06日
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資金の100%をリスクマネーとしている人はいないと思いますので、
追加投資をしても、それは1年の初めにもっていた無リスクマネー(預金・国債など)の中から出しことにするしかないのではないでしょうか?
正確な期間あたり収益率にはなりませんが、”おおまかに”収益率がいくらかの参考程度にはなります。特に投資額が大きくなって、追加分が相対的に少なくなれば、これでなんら問題ない気がします。
はじめましてうさみみと申します(^^♪
騰落率の計算はうさみみもしていません。
全く同じ考えなんですが、何で割ったらいいのかさっぱり分からないんです。
どのみち正確に出すことは無理なんでしょうね。
何%より「いくら」の方がすっきりです(笑)
コメント、ありがとうございます。
同じような考え方の人がいて、ある意味、安心しています。
この問題はけっこう難しい問題のように思います。
皆さんがどうしていらっしゃるのか、特に、ブログで自分の騰落率を示している人は、どういう計算をしているのか、知りたいものです。
騰落率の計算ですが、現価・終価・年価の公式を用いて計算すれば良いと思います。
http://www.kogures.com/hitoshi/webtext/dcf-suugaku/index.html
上記のサイトで公式について説明しています。「換算公式のまとめ」の所に公式が書かれています。P(現価), M(年価), S(終価), n(期間)などののパラメータを代入してiを計算すれば、それが騰落率になると思います。月ごとで計算する場合はnに年ではなく月数を代入して、計算されたiも年率ではなく、月率になるので、いろいろ換算もしなくていけないので、面倒だと思います。
以上のことは大学で学んだが、計算が難しく面倒なので、私も自分のポートフォリオの騰落率をまったく計算していません。
お教えくださったサイトを見てみましたが、よくわかりませんでした。
計算のしかたは簡明でわかるのですが、たとえば、1年の途中で追加資金があった場合、騰落率をどう計算するかという点については、何も述べていないようです。
よろしければ、再度、コメントをお願いします。
"1月1日に1万円を何かに投資し、7月1日にさらに1万円を投資し、12月31日を迎えたら、時価3万円になっていたとします。この場合、騰落率はどう計算するのでしょうか。"
この例で計算すると、終価係数[P→S]=(1+i)^nを用いて(x^nはxのn乗を意味する)、nを月数に書き換えると、
{1万×(1+i)^12}+{1万×(1+i)^6}=3万
という等式を解いて、i = 0.045 になります。それは月率なので、年率に換算するために i×12 = 0.541となる。つまり騰落率54.1%になります。
また他の場合もご質問があればして下さい。
再度のお教え、ありがとうございました。
なるほど、完全に理解できました。
月率を使えば、計算できるわけですね。
ポイントは、1年の途中でどうであったかとは無関係に、単に1万円を1年運用し、別の1万円を半年運用したと考えるところにあるわけですね。
乙の長年の悩みが一つ解決しました。