全体で 508 ページほどあり、かなり長いです。
正直なところ、乙は、読み終えるまでに「飽きてしまった」感じでした。
ブログの以前の記事を振り返ると、昨年10月にすでに読み始めていることがわかります。
2007.10.27 http://otsu.seesaa.net/article/62645642.html
それでいて読み終わったのが今ですから、いかに長かったかということです。
乙は、本書をトイレに置いておいて、座るたびに読んでいたのですが、この方法はよくなかったです。本書は具体的な人名・企業名・年月日・金額が非常にたくさん出てきます。時間があいてしまうと、それらを覚えていることができず、「あれ、何だっけ」というような感じになってしまいます。ともかく、そのような具体的な記述が延々と続きます。
プロローグを読み始めるとすぐに(p.ii で)中国の株式市場は公営賭博だということが書いてあり、引き込まれます。
序章では、p.5「中国の株式市場は、中国の真相を世界に伝える窓である」ということが書いてあります。本書を読んだ後では、なるほどそうだと思います。
また、p.20 から「株改」の話が出てきます。正式には「上場企業株式権利分離制度改革」というそうです。ともかく、そういうのがあって、2006 年は株価が上がるはずだったというわけです。そして、実際、株価が上がっています。中国では、自由で公平な株式市場があるというよりも、政府が思うがままに操作できる株式市場があるというほうがふさわしいのかもしれません。
序章に続いて、第1章「中国証券市場の闇の歴史」があります。何でもありの中国株式市場の実態が描かれます。驚きの連続です。ここが本書の中心的記述のように思います。こんな汚い事件が多発する株式市場では、危なくて、投資なんかしていられないという気分になります。
第2章「誰が株式市場を殺すのか」でも、株式市場の問題点をさまざまな角度からえぐっていきます。
p.216 では、中国のインデックスファンドはダメだという話が出てきます。指数そのものが未成熟で指標とするに値しないなどと聞くと、どうしようもない感覚になります。
p.226 では、中国人投資家は意外に少ない(つまり、少数の金持ちによって市場が支配されている)といっています。これも不透明な市場ということにつながる話です。
第3章「暗躍する上場企業の実態」では、株式市場だけでなく、そもそもそこに上場する企業自体が腐っているような例がたくさんあることを細かく記述していきます。とにかく、そういう状態なので、不良債権が膨大にあるということになりわけです(p.359)。p.363 では、企業の隠れた負担に言及します。国営上場企業が抱える問題です。p.376 あたりでは、上場企業を「私有化」する話が出てきます。
第4章「すでに起こりつつある未来」も、気持ちが暗くなるような話であふれています。
本書を一読した後では、中国株投資に嫌気がさしたように感じます。こんな変な市場に自分の金を投げ入れてしまったのかという気分です。逃げ道はありません。とるべき手段は、中国株を売却するしかないように思います。今まで、乙は、中国の成長に期待して、株式投資などを行ってきたのですが、そろそろ切り上げ時を考えようかということになってきました。
もっとも、H株の場合は、中国国内の株式市場と若干違っていて、世界の投資家が見ている場所ですから、H株に投資しておけば、こんなにひどい企業が上場してくるとは思いませんが、それでも、中国は中国ですから、いつ何時落とし穴にはまってしまうか、わからないように思います。
ところで、最後まで読み終わって、感じました。本書は、なぜ横書きにしなかったのでしょうか。本文中に数字(金額と年月日)がたくさん出てくるのですが、縦書きでは、それらがとても見にくいのです。2ケタの数字までは左右に並べて表記していますが、それ以上のケタは縦に並べます。ですから、1234.56万元などという場合は、
1
2
3
4
・
56
万
元
という感じになります。
横書きならば、もう少しすっきりし、読者も読みやすかったのではないでしょうか。
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