しかし、老後の生活にはいろいろな不安が伴うものです。資金があればそれでよしというだけではすみません。
一番の問題は、やはり認知症の問題でしょう。
認知症になってしまうと、それまで築き上げてきたものがすべて無効になってしまう可能性があります。この点に関して、しばらく前に、日経新聞で記事を読みました。「投資の終活、相続・認知症への備え 証券会社も支援策」というものです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB291XV0Z20C24A3000000/
(2024年4月21日 4:00)
記事では、「認知症や相続への備えとして、高齢になった際に投資をどう整理するか。こうした投資の「終活」を支援する証券会社の動きが活発になってきた。個人でも相続に向け、早いうちから資産をまとめる動きが広がっている。」ということで、証券会社の例を取り上げていました。
野村証券では、高齢者担当の専門職「ハートフルパートナー」という人がいるそうで、高齢者の相続相談などを担当するそうです。
認知機能が低下すると、取引の判断などが正確にできなくなる恐れが高まります。さらに認知症となった場合は証券口座が凍結され、家族であっても取引できなくなるそうです。これは一大事です。
乙は対面式の証券会社は使っておらず、ネット証券だけを使っています。ということは、こういうサービスが使えないということになりそうです。ネット証券では認知症に気づかないことになります。家族信託という形で子供に財産の管理を任せる手がありますが、他の親族とトラブルになるリスクがあります。
記事中では、楽天証券やマネックス証券など、ネット証券でもこの問題に取り組む例が増えてきたという話なので、今後はいろいろな例が増えてきそうです。
しかし、一番の問題は、相続や認知症などを考慮した投資の意識を投資家が持っているかどうかということでしょう。
乙は、いざというときに備えて、乙の口座情報一覧をまとめて、妻と長男に知らせるようにしています。乙の死後に開ける封筒の中に詳細を書いた紙が入っています。相続の方針についても触れています。この封筒は、死後だけではなく、認知症になった場合も開けてよいとするべきかもしれません。このような「準備」も終活の一種ととらえられそうです。
日常的に、認知症にならないような生活の工夫が必要なように思います。乙は将棋が好きなので、定期的に将棋を指すことで頭を使うことを心がけています。そして、毎朝ある程度の散歩をして、身体の方も衰えないように注意しています。
その上に、万が一の事態になったときにどうするかを考えて、その対策をしておけば、まあ認知症の問題には関わらずに生きていけるのではないかと考えています。
自分の老化は自分で意識しにくいもののようです。そういう場合は、家族と連携し合って生きていくようにする必要があります。
こんなことを考えると、投資をするということは、人生そのもののように思えてきました。