2014年05月12日

ピーター・D・シフ、アンドリュー・J・シフ(2011.6)『なぜ政府は信頼できないのか』東洋経済新報社

 乙が読んだ本です。「寓話で学ぶ経済の仕組み」という副題が付いています。
 3人が魚を捕って(それをそのまま食べて)暮らしているという設定で物語が始まります。それから、新しい網を作って、たくさんの魚を捕まえて、それを分配したり、「魚紙幣」を作ったりしていきます。現実のアメリカ経済を元にした寓話であることがわかります。
 マンガなども多く、その点では読みやすい本だと思います。
 しかし、このタイトルは何でしょうか。本の内容とかなりずれています。原題は「How an economy grows and why it crashes」です。原題ならばわかりやすいし、書かれている内容を一言で表しているという意味で、とてもいい題目です。なぜこれが「なぜ政府は信頼できないのか」になるのでしょう。副題をメインタイトルにしていたら、少しはマシだったと思います。
 この結果、乙にとっては、期待した内容と違ったことが書かれている本だということになりました。
 題名の翻訳はむずかしいものですが、それにしても、今の題名の翻訳は、読者に悪い先入観を与えてしまうことがある点で、より望ましい題名にしてもらいたかったと思います。
 寓話で経済の仕組みを説明するという試みはうまくいったといえるでしょうか。
 乙の感覚では、「成功した」とはいいにくいように思います。
 たとえば「魚は(時間が経っても)腐らない」ということになっています。金本位制を魚で説明しているのですが、現実の魚は腐らないはずがありません。その点だけでも金本位制を説明するのに不適切なたとえだと思います。
 マンガもあるので、1冊を通読するのはむずかしくありません。すうっと読んでいけます。しかし、どうも頭に残りにくいように思います。
 乙は図書館で借りて読んだのですが、自分で買わなくてよかったと思いました。


【関連する記事】
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2014年05月10日

ワンルームマンションを売るときの設備表の記入に困った

 乙は、ワンルームマンションなどを買ったりしていました。
2006.3.17 http://otsu.seesaa.net/article/14940825.html
2006.3.16 http://otsu.seesaa.net/article/14879201.html
しかし、あまり将来の展望もなさそうだし、売却することにしました。管理がめんどくさいというようなこともありました。
 で、不動産仲介業者に依頼して、売りに出そうと思ったのですが、今は、買い手が見つかったとしても、その買い手に対して、マンションの設備などを詳しく書いた書類を付けなければならないのだそうです。
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/ansingaido_5.pdf
https://www.mlit.go.jp/common/000026648.pdf
 一つは、物件状況等報告書というもので、雨漏り、シロアリ、給排水管の故障、腐蝕、火災被害、漏水被害、土壌汚染、浸水被害、近隣の建築計画、電波障害……など、記入するべきところがたくさんあります。もっとも、実際に書くべきところは「何もない」のですが。
 もう一つ、「設備表」というのがありました。この設備表は、社団法人不動産流通経営協会(FRK)標準書式です。2009.4 改訂だそうです。以下のようなことを書きます。

(1)主要設備
給湯関係
 給湯器(電気・ガス・石油)
 バランス釜
水廻り関係
 厨房設備 流し台、コンロ(電気・ガス)・グリル、レンジフード(換気扇)、オーブン・オーブンレンジ(電気・ガス)、浄水機、食器洗い機
 浴室設備 鏡、シャワー、コンセント、くもり止め
 トイレ設備 保温、洗浄、乾燥
 洗濯用防水パン
空調関係
 冷暖房機(電気・ガス)、冷房機(電気・ガス)、暖房機(電気・ガス・石油)、床暖房設備、換気扇
その他
 インターホン(TVモニター機能)、ドアチャイム
(2)その他の設備
照明関係
 照明器具
収納関係
 食器棚、つり戸棚、床下収納、下駄箱
建具関係
 網戸、雨戸、戸・扉、ふすま、障子
その他
 TV共視聴施設 衛星アンテナ(単独・共同)(BS・CS)
 カーテンレール、カーテン、物干し

 実に大変です。乙が知らないようなことがたくさんあります。
 たとえば、トイレに保温、洗浄、乾燥の機能が付いていたかどうかなんて、まったく覚えていません。
 買ったとき(約10年前)に、1回だけ中を見たことがありますが、その後は全然現地に行ったこともありません。まったく書けない状況でした。
 所有する住戸の中に入って確認すれば、記入はできますが、賃借人が住んでいるとなれば、勝手に入ることはできません。
 いやはや、大変です。
 実際は、仲介業者がマンションのパンフレットを見ながら記入しました。確かに、それしかできないですね。しかし、これこれの設備が付いているという書類ですから、瑕疵があれば売り主側の責任になる可能性があります。要注意です。
 余計なことですが、新しい買い手は遠方に住んでいる人だそうですが、当該物件を売るとき、こんなことが記入できるのでしょうか? 乙の知ったことではありませんが。
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2014年03月05日

確定申告提出

 乙は、平成25年分の確定申告を終えました。
 例年だと、時間を計って記入するようにしているのですが、今回は、うっかりしてしまいました。そんなわけで、領収書の整理・書類の記入にかかった時間は正確ではありませんが、合計で8時間くらいかかったように思います。
 なぜこんなに大変だったかというと、今回新たに加わった以下のような事情があったように思います。
(1) 株式や投資信託の譲渡所得
(2) 寄附金控除
(3) 医療費控除

 以下のそれぞれの事情を書いておきましょう。(実は、今後の確定申告に関する自分自身のためのメモです。)

(1) 株式や投資信託の譲渡所得
 乙は源泉徴収付きの特定口座を利用していますので、株式や投資信託の譲渡所得については、何も申告しなくても、それで全部済んでしまいます。例年はそれでいいのですが、今回はちょっと違いました。昨年末に大量に株式や投資信託を売却したのですが、一つの証券会社では譲渡益が出て(黒字になり)、もう一つの証券会社では譲渡損が出た(赤字になった)のです。二つの証券会社の特定口座ではありますが、これを合算すると、少しだけ有利になります。譲渡益が圧縮されるので、その分の税金が安くなるのです。そこで、これを税務署でもらってきた源泉分離課税の書式(第三表)に記入したのですが、記入がけっこう大変でした。初めての経験ということが大きいと思います。一番シンプルな申告のはずですが、税務署でくれる書類の中に当てはまる事例がなく、結局、さまざまな事例集などをあちこち読んで、やっと記入ができました。
 普通に書く第一表、第二表と第三表の関係がわかりにくく、一方を一気に書くわけにいかず、両者を並行して記入しなければいけないので、その点も大変でした。
 結局、記入のしかたを説明してある書類を熟読する羽目になり、時間がかかってしまいました。
 ついでにメモしておきますが、こういう申告をすると、住民税のところも譲渡所得の源泉徴収額(住民税分)を記入しなければなりません。これを忘れると、住民税分の還付がなくなってしまいます。

(2) 寄附金控除
 寄附金控除については、今までの所得控除でなく、税額控除を選んだのですが、これまた記入がややこしかったです。ネットで「公益社団法人等寄附金特別控除を受けられる方へ」を読みながら「公益社団法人等寄附金特別控除額の計算明細書」を記入するのですが、
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/09-2.pdf
これだけでも十分ややこしいのに加え、乙の場合は、認定NPO法人に対する寄付もあったので、「認定NPO法人等寄附金特別控除を受けられる方へ」を読みながら「認定NPO法人等寄附金特別控除額の計算明細書」を記入します。
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/09-1.pdf
こちらもややこしかったです。両者が関連するので、並行して記入しなければならないのです。しかも、計算明細書の書式を見ればわかるように、一方では平成25年分の所得税の額を計算しておかなければ記入できないようになっています。三者並行記入のようなもので、一体どれから記入すればいいものやら、迷いました。
 また、寄附金控除についても、住民税のところに記入する必要があります。これが、単純な合計額でなく、都道府県のところには公益社団法人等寄附金の金額と認定NPO法人等寄附金の金額の合計を記入するとともに、市区町村のところには認定NPO法人等寄附金の金額を記入するということで、両者の合計額は、寄附金の合計額と異なるということになります。いかにも間違えそうです。

(3) 医療費控除
 妻の分も合わせて申告することにしました。
 領収書の整理に時間がかかりました。
 しかし、行った作業自体は以前と変わりません。

 何ともややこしい話です。
 来年の申告は、また違った要素が加わることになりそうで、戦々恐々です。
 例年行っている作業だけでも大変なのに、毎年、新たな事項が加わっていく気がします。
 年齢とともに、税金の申告は深刻な作業になるのですね。
 時間をかけてこういう書類を書いた上で、結局、何百万円かの税金を取られているわけですから、何とも言えない気分です。確定申告は、日本に住む者の義務として毎年行っていますが、乙にとっては、この時期になると繰り返される憂鬱な作業です。
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2014年02月23日

2013年末から2014年にかけての投資状況の変化

 2013年末に乙の投資状況について大きな変動があったので、ちょっとメモしておきましょう。
 乙は、今までいろいろな投資を経験してきたのですが、2013年末には方針を一変させました。実は、建て売りの一戸建てを購入することになったのです。購入に当たってはいろいろと考えるところがありました。詳細は省きますが、結果的に都内某所に購入することになりました。それに伴い、資金が必要になりました。数千万円の大きな買物です。
 孫への教育資金の贈与
2013.8.6 http://otsu.seesaa.net/article/371185723.html
2013.8.4 http://otsu.seesaa.net/article/371026364.html
も延期することにしました。
 年末には、定期預金の解約などを行って資金を用意していったのですが、その途中で乙は住宅ローンを借りることができないことがわかりました。健康上の理由です。ある程度の年齢になると、こんなこともあるのですね。
 そこで、国内で乙が保有している株や投信(ETF や MMF を含めて)を大量に解約・売却することになりました。乙が利用している国内の証券会社はすべてネット対応なので、現金化するにはあまり時間がかかりません。銀行もすべてネットで手続きができます。
 いざとなると、海外で保有している株や投信はあてにならないものです。現金化するには時間がかかります。
 結果的に、住宅ローンなしで何とか住宅購入資金を工面することができました。妻にも資金の一部を出してもらいました。
 2014年からは株や投信の売却に際して 20% の税金がかかりますので、いずれにせよ2013年末までにはある程度売却しようと考えていましたが、それを通り越して、かなりスッカラカンになる程度にまで株や投信を売却しました。たとえば、株主優待のことを考えて、いくつかの銘柄は残しておこうとか、損失が出ている株は売らないようにして、将来利益が出ている株を売却することになったらそのときに売ろうとか考えていましたが、そんな悠長なことは言っていられなくなりました。国内の証券会社の残高は、ほぼスッカラカンです。
 こんなわけで、乙のポートフォリオは大きく毀損しました。たとえば、日本株は全資産の 10% くらい保有しようと考えていましたが、今のところは 1.63% しかありません。日本債券や定期預金もほぼゼロです。
 現在(2014年)は、アメリカ株(実態は ETF)などを売却しながら、海外にある資金を国内に戻し、日本株を買おうとしているところです。
 NISA も利用できるようにしてありますが、年間100万円という枠ではポートフォリオを手直しすることには役立ちません。2014年内くらいには 1,000 万円以上の資金移動を行わなければなりません。給与所得から投資に回す分も日本株に全力注入でよさそうです。
 日本株は、消費税のアップにともない、4月以降に下がると予想しています。そのころにでも買いに出ようかなと考えているところです。ま、予想は当たらないかもしれませんが。
 今回の資金移動でいろいろ貴重な経験をしました。やはり、株式や投資信託は現金化しやすいということなどを痛感しました。投資にあたっては、そういう流動性も大事ですね。人生の各段階で何があるかわからないですから。
 意外と大変になりそうなことは、確定申告です。乙は、源泉徴収付きの特定口座を利用していますので、あまり関係ないかと思っていましたが、一部の証券会社では損失が出て、別の証券会社では利益が出ましたので、通算する処理が必要になりました。今まで未経験ですから、記入のしかたがわかりません。ま、税務署に聞きながら記入するのでしょうかね。
posted by 乙 at 04:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月16日

NISA と積立

 乙が、山崎元氏の「山崎元のマルチスコープ NISAスタートの多難を案じる」
2014.1.15 http://diamond.jp/articles/-/47114?page=2
を読んでいると、「投資資金が全くない方ならともかく、NISAに積立投資は向かないので注意してほしい。理由は、せっかく節税が可能な期間を実質的に短縮してしまうからだ。」と書いてありました。
 NISA が積立投資に向かないというのは、ちょっと驚きました。なぜならば、乙は今年から NISA 口座での積立投資を考えていたからです。
 たとえば、検索エンジンで「NISA 積立」と入れて検索すると、NISA で積立投資をすすめる記事がたくさんヒットします。その中で、NISA に積立投資は向かないと主張する山崎氏の意見は、かなり特異であるように思えます。
 なぜ、山崎氏は NISA での積立投資をすすめないのでしょうか。
 理由は、上記のように「せっかく節税が可能な期間を実質的に短縮してしまう」と書いてあります。つまり、1年の最初に100万円投資すれば、1年間(12ヶ月間)まるまる投資期間になるのに、毎月 83,000 円ずつ投資していくと、1月分は12ヶ月投資できるのに、12月分は1ヶ月しか投資できず、全体では投資期間が 6.5 ヶ月になってしまうというわけです。
 この話は、
2013.5.23 http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130523/ecn1305230711002-n1.htm
にも(同じく山崎氏ですが)書いてあります。
 理論上は、山崎氏が正しいと思います。NISA であろうとなかろうと、100万円が手元にあるときに、それを現時点で一括して投資することと、83,000 円ずつ積立投資することは、どちらが有利ということはありません。株価のようなものは、平均すれば、値下がりするよりも値上がりしていく傾向が強いとすれば、一括投資の方が投資期間が長いので有利ということになります。
 しかし、話はそれだけでは終わりません。
 サラリーマンに典型的なように、毎月なにがしかの定期収入があって、その一部を投資に回す人の場合は、一括して投資するよりも、毎月の積立投資の方が投資資金の捻出が簡単で、普通預金の口座残高が急減することがなく、投資の手間が少なくて済む(これは微妙ですが)というメリットがあります。
 そんなことを考えて、乙は、NISA でも積立投資をしようと考えています。

 なお、NISA の積立投資には、竹川美奈子氏の指摘する問題点
2013.7.24 http://blog.goo.ne.jp/m-takekawa/e/0db7d1a8a1d77f89d893cc71b40ab762
もありそうです。
 こちらは、各金融機関ごとの「対応」の問題かもしれません。今の段階では、乙は何とも判断できません。
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2014年01月13日

「長寿ファンド」に人気?

 乙が日経新聞の電子版を読んでいて、「あれっ?」と思ったことを書きます。
 2014.1.13 7:00 発信の「「長寿ファンド」に人気、国内投信ランキング」
http://www.nikkei.com/money/fund/clip.aspx?g=DGXNASFK0600X_06012014000000
という記事があります。(有料会員限定記事ではありませんので、自由にアクセスできるようです。)
 これは、資金純流入額ランキングを紹介する記事です。資金純流入額は、設定額(投資家による購入額)から解約額(投資家による売却額)を差し引いた額です。つまり、簡単に言えば、(2013年に)よく売れた投信は何だったかを見ようというわけです。
 「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」が第1位で、以下、15本の投信が純流入額順に並んでいます。そして、「「長寿ファンド」が売れる傾向が強まっていると言える。」という結論に至っています。
 この記事を読んで、乙が疑問に思ったのは以下の2点です。

(1)15位までのランキング表に各投信の設定時期が書かれていない。
 表には、必須事項として、順位とファンド名/投信会社名、そして資金純流入額が書かれていますが、その他に、純資産総額、過去1年間の騰落率、信託報酬、R&Iリスク分類、R&Iファンド分類が載っています。
 しかし、乙は、何よりも最初の設定時期を書くべきだろうと思います。そうしないと、記事本文の主張(というか解釈?)「長寿ファンドに人気がある」を裏付けることができないではありませんか。
 こういう重要事項を省略してよしとしている新聞社の態度に大いに疑問を感じます。

(2)長寿ファンドであっても、資金純流入額が大きい。
 1位のファンド「フィデリティ・USハイ・イールド・ファンド」を例にしますが、純資産総額が1兆457億円に対して、資金純流入額が4148億円です。資金純流入額は過去6ヶ月分のデータだそうです。半年で純資産総額の4割もの資金純流入があるということです。ものすごい勢いで資金が流入しています。これで「長寿ファンド」と言えるのでしょうか。
 長寿ファンドといえば、資金を入れたらずっとそのままにして5年、10年、20年と運用を続けるというイメージですが、そんなことは実態と大きく違っています。半年で4割の資金の流入です。
 他の14ファンドを見ても、それぞれ資金の流入が激しいように思います。考えてみれば、激しいからこそ、よく売れたランキングに入っているわけですが。
 このあたり、もっと掘り下げた分析を行わないと、意味がないように思えます。

 経済紙を自称する新聞でこんなレベルの記事しか書けないのかと思うと、残念です。
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2013年12月16日

小幡績(2013.5)『ハイブリッド・バブル』ダイヤモンド社

 乙が読んだ本です。「日本経済を追い込む国債暴落シナリオ」という副題が付いています。
 題名からして、国債がこれから暴落するという話かと思いましたが、必ずしもそうではありません。今が国債のバブルだ、したがって価格が高すぎる、金利が低すぎるということを述べていますが、それは、必ずしも国債が暴落するというわけではないのです。今のままの状態がずっと続いて、日本経済が安楽死する可能性もあるというわけです。
 乙は、日本の国債には投資していませんが、投資してもしなくても、国債の金利がどういう傾向にあるかは把握しておく必要があると思っています。その意味では、小幡氏の分析は興味深いものでした。
 やはり、国債の金利の動きは、過去20年以上にわたっておかしいとしかいいようがありません。こんなに低金利が長く続いていることは、何とも納得できません。しかし、現実にそうなっているわけで、であれば、現実をどう考えるべきかという問題になります。
 たいていの人は、だからこれから国債が暴落するのだということで不安を募らせて終わりになるでしょう。
 今までずっと国債暴落説が言われ続け、一部のヘッジファンドがそれに賭けて資金を投入し、失敗して撤退したということが続いてきました。国債が暴落することがなかったのです。
 小幡氏の分析は、国債がバブル状態にあるということです。なぜそうなるのかは、本書中で説明されています。日本国内の機関投資家の考え方やその投資行動を丁寧に説明していきます。
 本書を一読すると、日本国債はこのままかなあと思えてきます。
 国債の暴落もあり得るけれど、それ以上に、国債の額が大きすぎて、日本の各種資金が国債に吸い寄せられ、企業活動などに有効に使われることなく、日本経済が安楽死するというのが一番ありそうな未来像でしょう。
 黒田日銀総裁の金融政策は異次元の緩和というものです。本書はその政策が発表され、実行に移された直後に刊行されています。黒田総裁のやり方に大きな疑問を投げかける立場です。さて、これからどうなっていくのでしょうか。
 本書は、今の日本の置かれた状況を、国債を通して眺めるというものです。今の日本という国を理解するために、興味深い1冊でした。


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2013年10月11日

一部の株式を売却予定

 最近、乙は孫への教育資金の贈与を真剣に考え始めました。
2013.8.6 孫への教育資金の贈与(2)
http://otsu.seesaa.net/article/371185723.html
2013.8.4 孫への教育資金の贈与
http://otsu.seesaa.net/article/371026364.html
 とりあえず、3人の孫にそれぞれ500万円ずつ贈与することにし、来年から再来年にかけてさらに若干の贈与をおこなうことを考えています。がんばれば、3人のそれぞれに1千万円ずつ贈与できるかもしれません。
 そんなわけで、あちこちに置いてある資金を一つの銀行口座の普通預金に集約しつつあります。海外に置いてある現金も国内に環流させつつあります。
 しかし、そんなことをしても、(毎月振り込まれる給与所得もありますが)1500 万円を用意するのがきびしいので、投資している資金の一部を現金化する必要がありそうです。300 万円分くらいでしょうか。
 ではどうするか。
 ファンドなどを解約する場合は、リバランスを考えて、予定よりも配分比率が高くなっているアセットクラスを売るというのが通常のやり方です。
 しかし、300 万円程度では、リバランスと呼ぶほどの変化にはなりません。
 そこで、日本株を売ることにしました。乙の場合、日本株は、その大部分を日本国内の証券会社に預けてあります。海外で投資しているもの(ファンドや ETF)を解約・売却して、資金を日本に戻すのは手間がかかります。しかし、日本株を売るなら、証券会社で(ネットで)手続きするだけですから簡単にできます。
 日本株といっても、株式優待ねらいの個別銘柄、なぜ買ったか忘れてしまった個別銘柄、TOPIX 連動の ETFなど、さまざまなものがあります。2倍とかに値上がりしているものもあれば、1割近くまで値を下げてしまった銘柄もあります。さて、どれを売ればいいのでしょうか。
 通常だと、値上がりしているものと値下がりしているものを売却して、利益が出ないようにする手が考えられます。利益が出れば所得税がかかってしまいますが、売却する銘柄と株数を調整して、プラスとマイナスがとんとんになるようにすれば、税金はほとんどかからないままに現金化することができます。
 しかし、ここで考慮しなければならないのは、分離課税で源泉徴収される所得税です。今年いっぱいは 10% ですが、来年からは 20% かかってきます。そこで、値上がりしている銘柄を売って、利益の 10% の税金を払い、値下がりしている銘柄はそのままにしておくという手が有力です。
 値下がりした銘柄をずっと保有していると、将来、さらに株を売却することになったときに、利益が出ている銘柄と相殺させる形で売却することができます。来年からは 20% の課税ですから、大きく響きます。値下がりしている銘柄も、こうやって最後のご奉公として有効に使えれば本望ではないでしょうか。
 というわけで、乙が保有している全銘柄の株式のうち、値上がり率が大きいものから順に売却し、300 万円になるようにすればよいと思います。もっとも、この際、株式優待ねらいで買った株は売却しないようにしなければなりません。
 いつ売却するかというタイミングについては、何ともわかりません。株価が高いときに売却したいものですが、いつが高いかなんて、神様でもない限りわかりません。
 10月17日以降にアメリカ株が暴落し、世界の株がそれにつられて値下がりするかもしれません。そうなるかどうか、わかりません。しかし、下がったものは上がる可能性もあるわけで、11月ころには値上がりするかもしれません。税率の変化を理由に日本株が売られるとすれば、12月ころに大量の株が売られて、全般に軟調になるでしょうか。こんなことを考えると、11月ころの売却がいいかもしれません。
posted by 乙 at 07:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 株式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月22日

吉本佳生(2013.4)『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)講談社

 乙が読んだ本です。とてもわかりやすい本です。
 日本は賃金デフレの状態にあるから、低所得者層の賃金を上げて、賃金格差を小さくし、これによって景気を回復させようという主張です。
 図表が多用されます。巻末の図表目次によれば68枚あります。データを示して、それに基づいて議論するというのはわかりやすいし、説得力があります。
 日本社会の問題点と景気を回復させようという話がリンクして、全体として首肯できる提言だと思いました。
 日本社会の問題点とは何か。「男・大・正・長」と「女・小・非・短」の間の格差です。前者は、「男性、大企業、正社員、長期就労者つまり中高年層」で、and (論理積)でとらえます。この人は高い給与をもらっています。一方、後者は「女性、小企業、非正規社員、短期就労者つまり若者」で、or (論理和)で考えます。どれかにあてはまると低い給与しかもらえないということです。両者の間の格差が大きいことが問題ということになります。
 乙の感覚では、これをなくせば景気が回復するという主張は正しいと思われますが、しかし、一方では、高い給与をもらっている人たちが収入が多いわけで、そういう人たちがある種のパワーを持っている以上、日本のあり方を変えていくのはきわめて困難だろうと思います。

 著者の吉本氏の主張を手っ取り早く理解するためには、第5章を読めばいいでしょう。
 なお、第6章は、人口を都市部に集めて地価を上昇させ、押しくらまんじゅう政策で日本を暖めるという話になります。これまたおもしろいと思いました。ただし、こちらも、地方が1票の格差ということである種のパワーを持っている以上、なかなか変えられないだろうと思われます。
 本書を一読して、著者はとてもいいことをいっていると思うのですが、「わかっちゃいるけどやめられない」が現状なんですね。
 さて、どうしたらいいのでしょうか。


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2013年09月21日

中国からの日本企業の撤退は大変だ

 チャイナリスクにはいろいろあるのですね。

 乙が読んだダイヤモンドオンラインの記事ですが、日本企業は中国からの撤退を視野に入れているという話があります。
http://diamond.jp/articles/-/41991?page=2
 中国の主要都市で開催される「撤退、債権回収」をテーマにした講演会には、現地法人の責任者など多くの日本人駐在員が詰めかける。今夏、某邦銀の上海支店が主催したセミナーは史上最多の180人を集め、当日現場は会場の増設に追われた。
 また、在中の日本人駐在員の間では、「某家電メーカーは、中国工場の3拠点を閉鎖したそうだ」「某飲料メーカーは、駐在員を50人から5人に減らしたらしい」といった、さまざまな縮小・撤退のうわさ話が飛び交っている。

 それはそうでしょう。昨年の反日デモのことを考えたら、ある意味で当然のことです。日系企業がデモ隊によって襲撃されるなんて、理不尽なことこの上なしです。

 一方では、村尾龍雄氏の執筆した「昔の勤務先や人民解放軍の在籍年数分も払う?!」というのがありました。
http://diamond.jp/articles/-/41923
 日本企業が中国から撤退しようとすると、従業員に対して、膨大な経済的保証をしなければならないという話です。昔の勤務先の在籍年数分も払わなければならないそうです。きわめて不合理ですが、中国ではこんなことがまかりとおるのですね。
 乙は驚きました。
 こういう制度で、よく国家が運営していけるなあと思いました。
 すでに中国に進出してしまった日本企業は、こんなチャイナリスクを織り込み済みだったのでしょうか。
 進むも地獄、引くも地獄という状態になっていないでしょうか。
posted by 乙 at 05:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする