2026年04月23日

佐々木融(2026.1.23)『インフレ・円安・バラマキ・国富流出』株式会社日経BP

 乙が読んだ本です。新書版の日経プレミアシリーズの1冊です。
 池田信夫(2026.02.17 13:59)『日本人はなぜこんなに貧しくなったのか』
https://agora-web.jp/archives/260217044148.html
というアゴラの記事を読んだので、そこに紹介されていたこの本を読んでみる気になりました。
 「はじめに」の最後には次のような段落があります。
 正直なところ「時すでに遅し」と思っているのですが、それでも本書を書くことによって、少しでも多くの人がそれ【乙注:円が信用を失い、取り戻せなくなること】に備えることができればと思っています。今から14年後にはさすがに私は引退しているでしょうが、街で出会った人に「あの本で助かりましたよ!」と言ってもらえるかもしれないと期待して執筆しました。

 なかなか衝撃的な文言です。
 では、本書を読んで、今後の危機的状況でも「助かる」ためにどうしたらいいか、わかるでしょうか。
 残念ながら乙はわかりませんでした。
 本書中にいろいろな「対策」(今後なすべきこと)が書かれているとも言えますが、それぞれは総理大臣を初めとする政治家が日本を変えるような話になっていて、個人が取れる対策のようなものはほぼ出てきません。本書に書かれた内容と、そういう社会になるときの対策には大きなギャップがあるように思われます。その意味では、全体として、間違ったことを言っているわけではないものの、役に立つ内容ではないような印象を受けました。今後の日本の没落が予想できるならば、個人はどんな対策が取れるのでしょうか。それを個人で考えるのは大変です。いくつかの具体案のようなものが示されていれば、それが可能か否か、有効か否かを考えつつ、その方向に向かう人が出るかもしれませんが、現状の内容では、読んだ後もどうもスッキリしません。
第1章 お金、投資、マーケットのそもそも
 基礎的な概念を説明します。
第2章 なぜ円はこれほどまでに弱くなったのか
 円安の理由は、実質金利がマイナスになったことと、日本から海外への資金流出の増加だと解きます。そんなことを言われても、個人ができる対策なんてありません。
第3章 日本政府の借金はなにが問題なのか
 日本の国債発行残高が増加していることを取り上げ、金利や通貨に歪みが出ていると解きます。
第4章 マイナスの実質金利から抜け出せない円
 実質金利マイナスはお金の大移動をもたらすとしています。現金・預金から株式や不動産・外貨建て資産にお金がシフトしていくということです。
第5章 止められない日本からの資金流出
 日本は貿易赤字国になるということです。日本企業の投資は今後さらに海外に向かうとしています。
第6章 「失われた30年」は、なぜ失われたのか――取り戻すために必要なこと
 昭和の時代の日本型雇用システムから脱却し、日本に投資・生産を取り戻し、構造改革をして、多様性を受け入れようという話です。
 著者の主張は理解できますが、こんなことが本当に実行可能なのでしょうか。誰がどのように実行するのでしょうか。

 というようなわけで、まじめに書かれた本だと思いますが、そこに書かれた提言は、なかなか実現がむずかしいと思われます。
 個人が実行可能な対策という意味では、外貨建て資産に対する投資ということになるのかなあと思いました。乙はすでにそんなことをしています。だとすると、もうそれ以外にできることはないのでしょうか。

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posted by 乙 at 04:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 投資関連本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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